No.10 「ニッポンの男たちへ」の素敵なエール(その1)
朝日新聞のオピニオンページの「リレーおぴにおん」コーナーで連載が始まった「ニッポンの男たちへ」シリーズ。まだ2回だが、とても読ませる内容である。
第1回(2011.4.5) はタレントの安めぐみさん(29)(「ネクタイ緩め一息・・・可愛い」)。
「草食系男子がブームだと言われています。芸能界でも線が細くて中性的な方が人気です。でもみんなが草食系を好きなわけではないんですよ。私は強くてたくましい男性にひかれます。男性に頼りたい、後ろをついていきたいと思っている女性も本当は多いのではないでしょうか。見た目より精神的な強さを求めます。普段は優しい顔をしていても、いざという時に助けてくれる。そんな男性にドキドキします。」
「私の父は、酔っぱらって千鳥足で帰ってきて玄関で寝ちゃう、みたいな人なんです。母はいつも「お父さん、ダメなんだから」と言いつつも、外では一歩下がって父を立てていました。家の中ではダメだけど、その分、外で頑張ってほしいという気持ちだったんだと思います。そんな姿を見て、男性が強く生きるためには、内助の功が必要なんだと思いました。」
「私、男性がネクタイを緩めて、一息ついた感じが好きです。外で一生懸命戦って、自宅では取り繕わない姿を見せる。そんな部分も可愛いって感じちゃいます。」
「本当に強いのは女性なのかもしれません。だから神様は、女性から腕力を取り上げたんじゃないかしら。男性のダメな部分を一方的に指摘して「強くなれ」と言うんじゃなくて、頼り、頼られ、補い合って生きていきたいな。そんな関係に憧れます。」
この文章を読むだけで、慰められたり励まされると感じる男性は多いのではないだろうか。
日本の男性の多くは、「男たるもの強くあれ。弱音を吐いたり泣くのは恥だ」と言われて育てられてきた。その背後にあったのは、戦前は農村社会での家父長制、戦後は男性正社員の終身雇用・年功序列制であった。
しかし、これらは今では過去のものとなっている。給料は下がり、会社では上からも下からも、女性社員からも冷たくあしらわれ、リストラに怯えながら早朝から深夜までくたくたになって働いているのに、家では居場所がない、という人は少なくないだろう。中高年であることは今や尊敬の対象ではなく、「役に立たない」「給料だけが高い」、果ては「ダサい」「臭い」など否定的イメージの方が強い。
その結果、男性、とりわけ中高年男性は、今や自己のアイデンティティを維持するのが難しくなっていると思う。
自殺が男性、とりわけ働き盛りの年齢の男性に多いことは、そのことと関係があるのではないだろうか。
その意味で、現代は「男性受難の時代」ではないかと思うのである。
そんな男性たちにとって、温かい眼差しで送ってくれる安さんのエールは、「神様、仏様、観音様、マリア様」〈?)の天からの励ましのように感じられるのではないだろうか。
〈以下、続く)
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