No.69 宮崎の地で、過労自殺行政訴訟を提訴
4月20日、23歳の自動車整備士の過労自殺の労災不認定の取消しを求める行政訴訟を宮崎地裁に提訴し、23日、記者会見のために宮崎に行ってきた。
飛行機から見える宮崎の街も、裁判所・県庁付近の町並みも、美しい新緑にあふれ、とても美しく、爽やかだった。
どれだけの記者が来てくれるか心配だったが、多数の報道機関の記者の皆さんが集まり、大変熱心に話を聞いてくれた。そして、いくつかの新聞が報道してくれた。
このうち、右の記事と写真は宮崎日日新聞、下の記事は毎日新聞である(画像はクリックすると拡大)。
原告で被災者の母親のKさんは、記者会見が始まる前、「この3日間、ほとんど眠れなかった」とおっしゃっていた。
そして、記者会見で私が事件の概要を話し始めたところから、もう涙が止まらなくなっていた。
息子さんが亡くなってから4年以上にわたって、ずっと抑え続けてきた思いが、まるで堰を切ったようであった。
普通の青年が、「いいところに就職が決まってよかったね」と祝福され、意気揚々と仕事を始めて、わずか数か月から数年でうつ病にかかり、自殺してしまう例が後を絶たない。
そして、自殺者を出した会社・職場は、サービス残業についてもパワハラについても口裏合わせをし、何ごともなかったように業務を続けている。
遺族は、最愛の夫や息子・娘の自殺という最悪の事態と、職場には何の問題もなかったかのように平然と業務を続ける会社とのギャップに、苦しみ続けているのである。
遺族にとって過労死・過労自殺の裁判は、そのようなギャップを少しでも埋めるためのプロセスでもある。
微力ながら、頑張っていきたい。
記者会見後、トンボ返りをする前に、宮崎牛のステーキ丼と、宮崎鶏のチキン南蛮、それに「冷や汁」という冷製のお汁をいただいた。ステーキもチキン南蛮も、柔らかくて口の中でとろけるようで、本当に美味しかった。
「冷や汁」は宮崎の郷土料理で、いりこの濃いめの出汁をベースに、キュウリやシソが入っていて、さっぱりした美味しさである。とても気に入ってしまった。
しばらく宮崎に通うことになるので、せっかくだから、宮崎の美味しいものも楽しみたい。
(なお、弁護団は、私と同じ事務所の瓦井剛司弁護士、宮崎の成見暁子弁護士の3人である。)
◆宮崎労基署の遺族補償不支給、取り消し求め国を /宮崎
鹿児島市の自動車販売会社に勤務していた男性社員が07年に自殺したのは長時間のサービス残業によるストレスなどが原因として、遺族側が23日までに、国を相手取り、遺族補償を不支給とした宮崎労働基準監督署の処分取り消しを求める訴訟を宮崎地裁に起こした。
訴えたのは、川南町在住の男性の母親。訴状などによると、男性は04年4月、同社に整備士として入社。07年8月に系列の中古車販売店に異動後、業務量が激増し、毎日1~4時間ほどのサービス残業が常態化していたという。
男性は07年12月、自動車内で練炭自殺。母親は09年2月に遺族補償給付を請求したが、労基署などは「自殺は仕事に起因したものではない」として請求を棄却した。
母親は23日、代理人の岩城穣弁護士らと県庁で記者会見し「息子が亡くなってから時間が止まっている。どうして死に至ったのかを裁判で明らかにしたい」と訴えた。今後、販売会社を相手取った損害賠償請求訴訟も起こす方針。【中村清雅】
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