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2012年11月30日 (金)

No.99 「学園前ガーランドヒル事件」と木村達也先生とのご縁

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◆11月25日、「学園前ガーランドヒル事件」の同窓会「紅葉会」が、奈良公園にある料亭「江戸三」で行われた。
 この事件は、平成元年10月から平成2年10月にかけて、ある分譲会社が奈良市五条西1丁目で一戸建て住宅77戸が8000万円~1億3500万円で販売したが、売れ残った区画について、わずか4か月後の平成3年2月に一気に4000万円も値下げ、更に同年10月には5000~6000万円も値下げして売りに出したことから、先に購入した15世帯が「値下げ販売禁止の仮処分」の申立てを行い、続いて不当利得返還請求訴訟を起こした事件である。

◆当時はバブル経済の絶頂期から崩壊に向かう時期で、高値で売り抜けようと図る業者も多かった。この事件でも、「値段はこれ以上安く安くならないのか」という購入者らに対して、「今の時代に不動産の値下がりなどあるはずがない。」、「まだまだ上がりますよ、いったん上がったものは下がりませんよ。」、「他の客に対しても一切値引き販売をしていない、他の客と不公平になることはしない。」、「1億2000万円であったらいつでも売れるし、うちが売ってあげる。」などと言いたい放題のセールストークを述べて、原告らに購入を決意させたのである。
 大変難しい事件であることはわかりながらも、購入者たちにとっては4000万円、6000万円というのは人生を左右するお金であることから、裁判所による和解勧告も視野に入れて、仮処分申立を行った。
 これに対し裁判所は、上記のようなセールストークを詳細に認定し、「債権者らにおいてその差額の返還を要求したい心情は十分に理解できる。」としつつ、仮処分命令の申立自体は却下した(大阪地裁平成5年4月21日決定・判例時報1492号118頁)。
 そして、続いて起こした本訴も、地裁(平成10年11月)、高裁(平成11年8月)とも敗訴して終わった。

◆このように、厳しい結果に終わった事件であるにもかかわらず、原告であった皆さんは私たち弁護団に感謝してくれて、ほぼ毎年「紅葉会」という名で同窓会を開いてくれているのである。弁護団として、弁護士冥利に尽きる、光栄なことである。
 今年は、参加者は元原告3人、弁護士は木村達也先生と私たち夫婦だけであったが、素晴しい快晴と紅葉の下、おいしい料理とお酒をいただきながら、なつかしい語らいの時間を持つことができた。心から感謝申し上げる次第である。
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◆ちなみに、弁護団長の木村達也先生と私は、特別な縁で繋がっている。
 先生はサラ金・クレジット問題に古くから取り組んでおられたことから、私は司法修習生時代に数人の修習生たちと事務所訪問をさせていただき、先生の弁護士としての姿勢に感銘を受けた。また、同じ和歌山県の隣町のご出身だということで親近感を持った。
 そして、このガーランドヒル事件を受任することになった際、この事件は広い意味で消費者問題ではないかと考えて、弁護団長への就任をお願いしたのである。更に、このガーランド事件と同種の事件(木津川台、北登美ヶ丘など)でも弁護団長をお願いした。
 その後、木村先生は日弁連の消費者問題対策委員会の委員長になられたのであるが、平成7年1月、阪神大震災で住宅倒壊によって多数の犠牲者が出たことから、同委員会の中に「土地住宅部会」を設置し、そして、その初代部会に参加しないかと、私を一本釣りで誘って下さったのである。
 それがきっかけとなり、私はその後2008年まで10年以上にわたって土地住宅部会に参加し、部会長も務め、2005年には、初めて欠陥住宅問題をテーマにした日弁連人権大会シンポジウムにも関わらせていただいた。
 さらに、これも木村先生の発案により、欠陥住宅被害者と弁護士・建築士・学者のネットワークである「欠陥住宅全国ネット」が1996年12月に結成されて私も参加し、1997年10月に結成された地方組織である「欠陥住宅関西ネット」の代表幹事に木村先生、事務局長に私が就任した。そして、1999年5月から2006年11月まで7年半にわたり、私は全国ネットの事務局長も務めさせていただくことになった。

 このように、木村先生とは、まさに「織りなす縁」の関係にあるのである。
 先生は現在も、日弁連の貧困対策本部の重鎮として全国を走り回っておられ、そして、私は過労死防止基本法制定の取り組みに、同じように全力投球している。
 そんな木村先生と、久々にお会いして思い出話ができて、本当に楽しかった。その意味でも、ガーランドヒルの皆さんには、心から感謝したい。

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コメント

京都大学大学院法学研究科で、日本の社会保障法・労働法を勉強している留学生(韓国)です。
労働判例2012.11.15の1054号で、阪神バス(勤務配慮)事件を目にし、当該事件を調べている中に先生のブログを拝見しました。

お忙しいところ真に申し訳ありませんが、当該事件について色々伺うことができればと思い、コメントを書かせていただきます。
是非宜しくお願い申し上げます。

◆Hong Songmin 様
コメントありがとうございました。
先ほど、個別にご連絡のメールを差し上げましたので、よろしくお願いします。

売れれば、売れないよりまし

売り手の気持ちが手に取るようにわかりますが

先に購入した方々からは、不満が出る


もっともな話ですね


ところで、お名前が「穣」さんなら
わたくし那賀高校出身で
記憶があります

今、コメントの返信を見て
ビックリしました


一度「悠々美術館通信」を
ご覧になってください

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