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2013年1月13日 (日)

No.104 日本人が過労死するまで働いてしまうルーツを解明──岩波ブックレット「過労死のない社会を」(森岡孝二 編)が発刊

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 この本は、「過労死防止法制定大阪実行委員会」の旗揚げの集いとして、昨年2012年3月2日に開催した「ストップ!過労死 大阪のつどい」の内容を、一部加筆してまとめたものである。9か月を経た昨年12月、ようやく発刊にこぎつけた。

 最大の目玉は、第Ⅰ部の木津川計さんの記念講演「命より大切な仕事って何ですか」である。話芸の達人で大阪の文化と芸能の第一人者として知られる木津川さんは、私たち日本人が過労死するまで働いてしまうルーツは、さかのぼれば明治時代に「脱亜入欧」を目指して立身出世主義を国家政策として奨励し、それが戦時の勤労動員、戦後の高度経済成長へと引き継がれてきたこと、その一方で「余暇」や「道楽」といった言葉が本来の意味を奪われ、ねじ曲げられていったことを、明快に解き明かした。
 特に、国が国民に歌わせた唱歌や、国民が自ら歌って鼓舞した歌を使った説明は、とてもわかりやすかった。
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 「身を立て 名をあげ やよ 励めよ」(「蛍の光」)
 「志(こころざし)を果たして いつの日にか帰らん 山は青きふるさと 水は清きふるさと」(「ふるさと」)
 「暫時(しばし)も休まず 槌打つ響き 飛び散る火玉にはしる湯玉 鞴(ふいご)の風さへ息をもつかず 仕事に精出す村の鍛冶屋」(「村の鍛冶屋」)
 「月月火水木金金」(軍歌)
 「明日は東京へ出て行くからは 何が何でも勝たねばならぬ」(「王将」)
 このお話を聴くと、滅私奉公・仕事優先でとことんまで働くことが、明治以来の美徳として私たちに刷り込まれていることが実感として理解できる。

 第Ⅱ部は、実行委員会の委員長でもある森岡孝二関西大学教授が「今、なぜ過労死防止基本法か」と題して、最近の2つの若者の過労死・過労自殺事件(「日本海庄や」事件とワタミ事件)を紹介しつつ、働き方の変化と労働時間の実態を踏まえて、なぜ過労死はなくならないのか、なぜ今過労死防止基本法の制定が必要なのかを話された。

 第Ⅲ部のリレートーク「過労死家族の訴えと職場の現状」は、新聞社に勤める夫を過労死で亡くされた妻の塚野信子さん、IT企業に入って過労でうつ病を発症し、休職と復職を繰り返すなかで治療薬を過量服用して死亡した息子の母親の西垣迪世さん、休職者が多い現在の教育現場に詳しい教職員組合の役員をされている藤川真人さん、若者の労働相談や調査活動をされているNPO法人「POSSE」の事務局長の川村遼平さん、「地域労組おおさか青年部」の北出茂さんに、私が順次インタビューを行ったものである。
 自分で言うのもなんだが、過労死に至った労働実態がどのようなものであったかについて、コンパクトに語っていただけたと思う。

 ぜひ広くお読みいただいて、過労死問題についての理解と、過労死防止基本法の制定への共感が広がることを願う。

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