No.136 ドラマ「半沢直樹」の超人気の理由
ドラマ「日曜劇場」の連続ドラマ「半沢直樹」(全10回)が、9月22日(日)の最終回で終了した。
最終回の視聴率は関東地区42.2%、関西地区45.5%で、今世紀最高、関西地区では歴代民放ドラマ1位だったという。1983年に国民的人気ドラマとなったNHK連続テレビ小説「おしん」で平均視聴率52.6%というから、現在の多局時代を考えると、いかにすごい視聴率であるかがわかる。
私は「アレは面白いなあ」というクチコミをあちこちから耳にして、ようやく見始めたのが第7回からであったが、確かに面白かった。面白い、というより痛快なのである。
銀行内部での上司の不正を、同期入社の仲間と知恵と力を出し合って一緒に暴いていく。その過程でピンチに陥るが、危機一髪のところで大逆転をして、悪人を断罪する。
流行語とまでなった決めゼリフは「やられたら、やり返す。倍返しだ!」
なぜこのドラマがこれだけ爆発的な人気を得たのだろうか。
よく言われているようだが、上記のようなストーリーは、基本的に時代劇に近いと思う。「お主もワルよのう」みたいな悪党を、ハラハラドキドキの経過を経て、主人公が最後に打ち負かす。これを、現代の銀行を舞台に設定したという点が新しい。そして、この現代性が、日々上司からのパワハラや理不尽な要求に苦しむサラリーマン層の心を掴んだとされるのである。
また、「銀行の本来の役割」や「同期入社の仲間同士の友情」なども、今や失われつつあるものを思い出させてくれるのであろう。
そのため、ストーリー的には突っ込みどころ満載の無理な部分も含みながらも、最後は痛快な大逆転勝利を収めるだろう‥‥そんな安心感をもって見ていることができるのである。
しかし、その点からいえば、最終回の終わり方には「?」を感じた人も多かったのではないだろうか。半沢に脅されたとはいえ大和田常務の悪事を証言した内藤営業部長は出向になったのに、巨悪を暴かれた大和田常務は平取締役への降格で済まされる。そして何よりも、「2階級特進」もあるかと囁かれた半沢は、系列の弱小証券会社に出向を言い渡されたのである。
言渡しを受けた半沢の目の奥の怒りが、その理不尽さを訴えていた。
これについては、「取締役会で大和田を土下座までさせたのはやり過ぎだったからやむを得ない」という意見もある。しかし、このドラマはそんな常識論を超えた痛快さをウリにしていたのだから、最後に常識論を持ってくるのは一貫性がない。
また、このような終わり方は原作どおりであり、そこからの更なるリベンジを図る続編が予定されているという情報もある。しかし、このドラマはドラマで一旦完結となるのだから、それなりの種明かしをしておかないと不親切である。視聴者はこのドラマのコンセプトがわからなくなり「はあ?」というようなストレスを感じながら終わらざるを得なくなってしまう。
とはいえ、全体として、大変面白いドラマであったことは間違いない。そして、「企業のあり方」、「不正を許さない」、「職場の仲間との友情や連帯」といったテーマについて、全国あちこちで議論がなされたとしたら、社会的な意義も決して小さくないと思うのである。
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コメント
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第1回から、ブルーレイで録画しているのでお送りします。
ご覧ください(笑)。
それから、内藤部長は最後まで「半沢直樹」と一心同体で庇ってくれた直属の上司であり、大和田常務を裏切ったのは、取締役兼部長の岸川部長ですよ(笑)。
頭取の裁定に最後はスッキリと行かなかったのですが、あれはTBSが第2作を狙って脚本を変えたのです。今までも原作とは異なっていたのに(当職は読んでいませんが、ネット情報によると)、余りの視聴率に延長を堺正人氏に途中で申し入れたのですが、堺正人氏は、10月9日から始まるリーガル・ハイ2の主演が決まっていて、TBSはやむなく断念したのです。
でも、「半沢直樹」の出向は、左遷ではないのですよ。
頭取が2年ほど腕を磨くために、命じたものでした。
東京中央セントラル証券は、東京中央銀行の子会社であり、また、大和田常務を追い詰め過ぎたと言うことも会社員としてのペナルティであると頭取が考えていて、それで出向になったのですよ(笑)。
でも、「半沢直樹」は、面白かったです。
当職も会社員時代を思い出してしまいました。当職も会社員時代、富士通グループにいたときですが、岩城先生は『鬼龍院花子の生涯』ってご存じですか?今は亡き、夏目雅子が主演した映画です。
そこで、夏目雅子が葬式の席上で言う啖呵が惚れ惚れします。
高知の土佐弁で、「なめたらいかんぜよ!」と言い放つのです。
当職も若くてギラギラしているときに、頭に来て富士通㈱岡山支店の管理職に、「なめたらいかんぜよ!」と行ったことがあります(笑)。当職は男女雇用機会均等法(昭和61年に施行)も無かった昭和59年に入社し、その後、事務職から営業職の総合職にテストケースで転換された全社で女性社員第一号で、社長が認めて通達を出してくれたものです。
今でもその内示は、大切に保管しています(笑)。
営業職となり、2年目で大きな事案で勝ち、年間数人しかいない社長表彰を受けました。事務職時代にも徹底した運送費の経費削減で、社長表彰を受けていたので職種が変わっても2回社長表彰を受けたのは現在までに、当職だけであろうと思っています。
当職は本当に、会社員時代は「半沢直樹」くらい突っ張っていました。31歳で営業課長にヘッドハンティングされたときも、「半沢直樹」より気性は激しかったかもしれません(笑)。
とても面白いドラマだったのですが、10月9日から堺正人氏が主演するリーガル・ハイ2が始まります。当職も全くドラマなど見ないのですが、この堺正人氏が主演したリーガル・ハイが秀逸に面白かったので、今回の「半沢直樹」も初回から録画していた次第です(笑)。
凄腕の弁護士を堺正人氏が、演じています。
少々おちゃらけている所もあるのですが、司法の実態をを突いて行っているところもあり、考えさせられることもあります。
立野弁護士のお知り合いの方が、監修なさっているそうです。
また、ご覧ください。
投稿: 久保利子 | 2013年9月28日 (土) 06時42分