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2014年4月24日 (木)

No.174 障害者に勤務配慮の継続を命令する判決!

140423


 バスの運転手が中途障害(排便障害)のために受けてきた「勤務配慮」が、分社化に伴って打ち切られた事件の本裁判で、2014年4月22日、神戸地裁尼崎支部で勝訴判決をもらうことができた。
 事案については、「No.43 障害者への配慮は「温情」、廃止は「自由」か」で紹介し、また2012年4月9日の仮処分決定については「No.68 障害者への勤務配慮打ち切りに仮処分命令」で既に紹介しているので、参照されたい。

<裁判の経緯>
 H23(2011)年3月 4日  第1次仮処分 申立
        8月 4日   第1次仮処分 和解成立(H24.3.31まで勤務配慮する)
       8月26日  本訴訟 提訴
 H24(2012)年2月 7日  第2次仮処分 申立
        4月 9日   第2次仮処分 決定(労働判例1054号38頁)
               →会社が「勤務配慮」を打ち切ったことが公序良俗違反ないし信義則違反で無効だとして、「勤務配慮」がないままでの勤務シフトによって勤務する義務のないことを仮に確認。
        7月13日  第2次仮処分 保全異議決定(労働判例1078号16頁)
 H25(2013)年5月23日  第2次仮処分 保全抗告決定(労働判例1078号5頁)
 H26(2014)年4月22日  本訴訟 判決

 原告が求めていたのは、次の3点であった。
 ①出勤時刻が午後1時以降となる勤務を担当させること。
 ②原則として、前日の勤務終了から翌日の勤務開始までの感覚を14時間空けること。
 ③原則として、時間外勤務とならない勤務を担当させること。

140422


 先に出された仮処分決定、及びこれについての保全異議決定、保全抗告決定はこれらをすべて認めたが、本判決は、①と③のみを認め、②までの合意は認められないとし、また、強引に勤務配慮を打ち切ったことについての慰謝料請求を棄却した点は不満が残るが、最も重要な①と③を本案判決として初めて認めた点で、画期的な意義を有するものである。

 弱い立場にある労働者が、働き続けながら、会社を相手に裁判をするというのは、大変なことである。
 普通の労働者に過ぎないAさんが、一生懸命裁判に取り組む姿を見ると、私は次の日本国憲法の条文を思い出す。

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 障害を持つ人たちは、好きで障害を持つのではない。「誰でも突然障害者になり、誰でもいつかは障害者になる」のである。障害者がいきいきと働ける社会は、健常者にとっても安全で健康に働ける社会である。
 会社は、これ以上Aさんを苦しめることはやめて、Aさん以外の労働者に理解を広げ、障害があっても合理的な配慮を行って働き続けられる職場を作る立場に立ってほしいと、切に願う。
 (なお、弁護団は、中西基、立野嘉英弁護士と私である。)

(以下、新聞記事の引用)

◆阪神バス:障害配慮のシフト打ち切り無効 神戸地裁支部  毎日新聞 2014年04月23日00時25分(最終更新 04月23日 00時31分)

 障害がある阪神バス(兵庫県尼崎市)の男性運転手(45)が、分社化に伴って障害に配慮した勤務シフトを打ち切られたのは違法として、同社にシフトの継続などを求めた訴訟の判決が22日、神戸地裁尼崎支部(田中俊次裁判長、本多俊雄裁判長代読)であった。「法律で保護された男性の利益が一方的に奪われ、無効」として、原告の訴えをほぼ認めた。原告弁護団は「障害に配慮した勤務シフトを企業に命じた判決は珍しい」としている。

 判決によると、男性は1992年に阪神電鉄に入社し、バス運転手として勤務。97年に受けた腰の手術の後遺症から、自分の意思で排せつを制御できない障害があると診断された。同社は男性を午後からの勤務に限定するなどしてきたが、2009年4月の分社化で阪神バスに転籍後、11年1月からは早朝勤務などもある勤務シフトが組まれ、欠勤が増えたという。

 判決で、田中裁判長は「法律上は分社化後も従来の労働契約が継承される」と判断。午後からの勤務としたうえで時間外労働をしないシフトを組むよう、同社に命じた。100万円の慰謝料などの請求は認めなかった。

 判決後、記者会見した男性は「主張が認められ、うれしい。希望を持って働ける」と話した。阪神バスは「判決内容を精査し、慎重に対応する」とコメントした。【米山淳】

障害への配慮打ち切りは無効=会社側の説明不十分―神戸地裁尼崎支部
 時事通信 4月22日(火)19時47分配信

 会社分割による転籍後、障害に配慮した勤務シフトが打ち切られたのは不当として、兵庫県に住む運転手の男性(45)が、勤務先の阪神バス(同県尼崎市)に、配慮のないシフトで勤務義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決で、神戸地裁尼崎支部(田中俊次裁判長、本多俊雄裁判長代読)は22日、男性の主張を認め、同社に出勤時刻が正午以降となる勤務を担当させることなどを命じた。
 原告側代理人は「障害を持つ労働者に対する合理的な配慮を求めた訴訟の判決は初めてではないか」と話している。
 判決によると、阪神電鉄でバス運転手として勤めていた男性は、腰椎椎間板ヘルニアの後遺症で排便障害が残り、午前中の勤務が難しくなった。同社と話し合い、2003年ごろから原則として深夜帯のみ勤務していた。
 09年に阪神電鉄の自動車運送事業部門が阪神バスに承継されたことに伴い、男性は転籍したが、同社は11年1月に勤務配慮を廃止。通常シフトでの勤務を命じたため、男性が同年8月、提訴していた。
 田中裁判長は、阪神電鉄が分割する際、原告らに労働契約承継法に基づき、従前の労働契約が新会社に承継されることを説明しておらず、「勤務配慮を認めない」とする労働組合との合意は、公序良俗に反し無効として、男性の主張を認めた。
 阪神バス総務部の話 判決内容を精査した上で、慎重に対応を検討したい。

障害配慮の勤務シフト、阪神バスに命令 地裁尼崎支部
 神戸新聞NEXT 4月22日(火)20時40分配信

 排せつ障害がある兵庫県在住の男性運転手(45)が、勤務する阪神バス(兵庫県尼崎市)に障害へ配慮した勤務シフトなどを求めた訴訟の判決が22日、神戸地裁尼崎支部であった。田中俊次裁判長(本多俊雄裁判長代読)は男性の請求を一部認めた。

 判決によると、男性は1992年に阪神電鉄に入社。その後、手術の後遺症で排せつをコントロールできなくなった。電鉄側と、正午以降の時間帯を担当し、時間外勤務をしないなどの労働契約で合意。しかし2009年、分社化に伴って阪神バスに転籍となり、11年1月からは通常のシフトで働くよう求められたという。

 田中裁判長は「転籍しても労働契約は継承されるべきだ」とした。一方、男性の求めていた慰謝料などは棄却した。

 原告側代理人の中西基弁護士は「障害のある労働者への配慮について争われた裁判は初めて」と述べ、男性は「働き続けられる希望ができた」と話した。

 阪神バスは「判決の内容を精査して対応を検討する」とコメントした。


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