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2014年5月 5日 (月)

No.179 未成年の禁煙治療にも「保険」を適用すべき? 弁護士が指摘する現行制度の「矛盾」──「弁護士ドットコム」掲載(2014.4.27)

 「弁護士ドットコム」から依頼を受けて書いた元原稿に基づいて、下記のトピックスが掲載された。
 今回は、これまでの4回と違って労働問題と関係がないが、頼まれると断れず、つい「わかりました」と言ってしまって、あとで原稿に追われて苦労するんだなあ。

未成年の禁煙治療にも「保険」を適用すべき? 弁護士が指摘する現行制度の「矛盾」 140503_2

 未成年の場合、喫煙行為そのものが違法行為であるため、禁煙治療が保険適用の対象外になってしまう。
 「タバコは百害あって一利なし」。喫煙者にとっては耳が痛いかもしれないが、少なくとも未成年は注意して聞くべき言葉だろう。厚労省のまとめによると、15~19歳でタバコを吸い始めた場合、肺がんで死亡する率は非喫煙者の5倍以上にもなるという統計データがあるからだ。

 未成年は成人よりも、タバコに含まれるニコチンへの依存度が高くなりやすいため、早急な禁煙治療が必要だといわれる。しかし、そのハードルはかなり高そうだ。というのも、未成年の場合、喫煙行為そのものが違法行為であるため、禁煙治療は公的な医療保険の適用対象にならないというのだ。

 つまり、未成年が禁煙治療を受けようとしたら、その治療費は高額となってしまう。 だがむしろ、喫煙による影響が大きい未成年こそ、保険を適用して治療をすすめるべき、という気もするが・・・。こうした現状について、弁護士はどう見ているのだろうか。岩城穣弁護士に聞いた。

●未成年者こそ「禁煙治療」の必要性が高い
 「未成年の喫煙行為は違法だから、その禁煙治療は保険の適用外にするというのは、未成年者のニコチン依存症が『あってはならない』ということと、『ないはずだ』ということを混同していて、あまりに形式的であると思います」
 このように岩城弁護士は疑問を呈する。
「若いときに吸い始めるほどニコチンへの依存度が高くなり、治療の必要性が高いのです。他方で、治療効果も高いといえます。
 また、ニコチン依存症の未成年者には保険治療を認めないのに、その人が成人したら保険治療を認めるというのは、整合性に欠けますね」

 たしかに、「成人にならないと禁煙治療はできない」といわんばかりの現行制度はいかにも奇妙だ。さらに、岩城弁護士は、国や社会といったマクロの観点から見ても、未成年者に対する禁煙治療のメリットは大きいと言う。
「未成年のときから強いニコチン依存症に陥ると、ガンや虚血性心臓疾患にかかる可能性が高くなり、将来の労働力を失うことにもなります。また、これらの成人病の治療や後遺障害のために莫大な医療コストや社会的コストがかかります。
そう考えると、未成年の段階で早期に治療をしておくほうが、はるかに安いコストで済むはずです」

●未成年の禁煙治療は「無償」にしてもよい
 では、制度はどうあるべきなのか?
「未成年者に対する特例を設けて、禁煙のための保険治療を受けられるようにするべきだと思います」
 このように岩城弁護士は述べるが、さらに踏み込んで、「未成年者への禁煙治療は、無償にしてもよいのではないか」と提案する。その理由として、家庭環境の問題をあげる。
「未成年者は自ら治療費を支払うお金がなく、親に出してもらうことが多いと思われますが、喫煙依存になる未成年者の場合、家庭環境に問題をかかえている子が少なくないのが現状です。
そのため、親が『治療費を払うお金がない』『お金がかかるなら治療を受けさせない』などと言って、足を引っ張る可能性も否定できません」
 本人が禁煙治療を受けたくても、親の無理解や経済的事情によって受けられないことも考えられるというわけだ。

「したがって、未成年者への禁煙治療については、教育の一環として『無償』にしてもよいくらいだと思います。禁煙団体やPTAなどが、この問題を世論と行政に訴えて、現在の取り扱いを変えさせていくことが必要なのではないでしょうか」

 岩城弁護士はこう述べて、「未成年の禁煙治療」について国民的な議論が必要だということを指摘していた。
(弁護士ドットコム トピックス)


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コメント

 岩城先生、ご無沙汰致しております。

 保険ということであれば、自動車の自賠責、任意保険についても加害者が飲酒運転であっても被害者に保険給付がされます。本人は明らかに故意の犯罪行為を行っていて、飲酒しているにも関わらず運転している訳です。

 未成年者であるが故に、稚拙であり、それに対して保険給付を行わないというのは、上記で指摘したことや成人になれば保険給付が受けられるということから鑑みても、非常に制度が誤っているとしか考えられません。

 まあ、所詮行政が決めていることですから、瑕疵だらけであるのは否めない事実です。

 岩城先生ら、過労死弁護団が日本の労働判例を勝ち得た事実は燦然と光輝き残っていますので、今後もますますの活躍を期待しています。

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