No.207 「一人」を楽しみながら深夜まで勉強──「深夜放送」の思い出
昭和31年(1956年)生まれの私の小学校高学年~高校時代(1960年代終わり~1970年代前半)は、「深夜放送」の全盛期だった。
関西では、朝日放送の「ABCヤングリクエスト」(通称「ヤンリク」)と、毎日放送の「MBSヤングタウン」(通称「ヤンタン」)が圧倒的な聴取率を誇っていたと思われる(関東では「セイ!ヤング」や、今もある「オールナイトニッポン」などが有名だったが、関西ではほとんど聴くことができなかった)。
私が初めて深夜放送の「ヤンリク」を聴いたのは、小学校6年生の時、初めて買った小さな「トランジスタラジオ」(これは、新聞配達でもらった給料で買ったもので、当時で1000円くらいした。)で聴いたのが最初だった。
昔は、テレビもラジオも、深夜までは放送していなかった。そんな中で、真夜中に一人でイヤホンで密やかに深夜放送を聴くのは、何かしら大人になったような気がしたものである。
「ヤンタン」は、吉本系などの若いタレントが集まってワイワイと騒ぐパターンが多く、楽しいが、これを聴き始めると勉強にならなかった。これに対して「ヤンリク」は、しっとりとした番組で、BGM的に音楽やトークを聴きながら勉強することができたので、私は「ヤンリク」を聴くことが多かった。
「ヤンリク」の開始時間は午後11時25分だったと思う。イヤホンを挿して小さなジョグダイヤルを回すと、周波数1008kHz(昔は1010だったように思う)で耳に入ってくる「ハガキで当てよう!車と1万円」の掛け声に続いて、流れてくるテーマソング。歌い手は、初代はあの奥村チヨさん、その後岡本リサさんという女性に変わった。
♪ 夜があなたに ささやく夜も 小窓に雨が 降る夜も お届けしましょう 若い歌 あなたのおハガキ リクエスト 聴きましょう 夢のリクエスト あなたと2人の クイズと夢のプレゼント Oh,ABC ヤングリクエスト♪
この番組は、歌や音楽ばかりでなく、決まった時間に多彩なコーナーがあった。例えば「ミッドナイト寄席」、笑福亭仁鶴の「頭のマッサージ」、「心の旅 遠くへ行きたい」、「スタジオ貸します」などなど。
私は実家が英語塾だったので、英語だけは父の授業に無料で(笑)出さされていたが、それ以外はほとんど塾に行ったり家庭教師にお世話になったりしたことはなかった。中学までは、参考書を文字どおり参考にしながら、教科書の予習・復習、高校時代は通信添削で勉強する(当時は「Z会」と並んで双璧をなしていた「オリオン」という通信添削をしていた。)など、基本的に独学で勉強していた。
そんな孤独な(?)勉強の友が、深夜放送だった。
住んでいたのが和歌山県の田舎なので、たいした高校受験もなかったが、全国模試や県レベルの模試はあり、結構一生懸命勉強した。
番組が終わる午前3時まで勉強をすることはあまりなかったが、時々時間を忘れて3時まで聴いていると、エンディングテーマが流れてくる。
♪夜が優しく あなたの胸に 素敵な夢を 運びます おやすみなさい 明日の夜も 2人の幸せ 歌いましょう 聴きましょう 夢のリクエスト 明日も2人の クイズと夢のプレゼント Oh,ABC ヤングリクエスト♪
ヤンリクを一番聴いていたのは、中学時代だった。高校に入っても聴いてはいたが、集中が必要な時にはスイッチを切ることが多くなった。また、高3になると「大学受験ラジオ講座」を聴くことが増え、自然と深夜放送から離れていった。
そして、浪人時代はほとんど聴かなくなり、大学に入ると、もちろん聴かなくなった。
私にとって、中学・高校時代、家で一人で遅くまでやった勉強は、深夜放送と一体だった。今でも、ヤンリクのテーマソングや各種コーナーを、昨日のことのように覚えている。
時々、真夜中に窓を開けて遠くを見たときの、あの何ともいえない不安と切なさみたいな感覚が、私の青春時代のイメージだったような気がする。
※画像(上)は、インターネットの無料イラストから拝借しました。
(下)は、ウィキペディアの「銀河鉄道の夜」のページから拝借しました。
※テーマソングは、1曲目が奥村チヨさん、2曲目が岡本リサさんです(YouTube)。
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