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2014年11月19日 (水)

No.220 「いきなり解散」で総選挙へ──小選挙区制のもとで野党は「連携」模索を

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◆山積する争点──国民は審判を下したいのに、この無力感
 どうやら、安倍首相は衆議院を解散し、12月2日公示、12月14日投票の日程で衆議院選挙が行われることがほぼ確実になったようである。

 本来、衆議院解散・総選挙というのは、「国民の信を問う」、すなわち、それまでの政権の政策の当否・今後の重要な政策・争点について国民の評価を仰ぎ、批判が強ければ軌道修正し、時には政権そのものが交代するというのが、議院内閣制の建前である。

 今回でいえば、①消費税10%の延期と1年半後の絶対増税の当否、②特定秘密保護法の強引な制定と今月10日の施行、③これまでの原発稼働ゼロから再稼働の開始、④憲法9条の解釈変更により集団的自衛権を認めた閣議決定とそれを前提とした今後の法整備、⑤アベノミクスの評価と格差拡大、⑥TPPへの参加の当否と範囲、⑦新しい労働時間制度(ホワイトカラーエグゼンプション)など、どれをとっても日本の現在と将来にとって決定的に重要で「国民に信を問うべき」問題が山積している。

 しかし、この閉塞感、諦め感はどうしたことだろう。それは、小選挙区制のもとで、「一強多弱(他弱?)」の政党状況である以上、結局自民・公明の圧倒的多数は変わらず、これまでの政策が追認され、政権を長らえるためのものではないか、という思いが拭えないからだと思う。

 これでは、国民には事実上、安倍自民党政権の政策を積極的に追認・承認するか、投票しないで消極的に追認・承認するかの選択肢しかなく、政権はいっそう傲慢・強権となり、日本の議会政治はいっそう危機に陥っていくことになる。

◆憲法が予定している選挙制度とは
 日本国憲法43条は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」とし、前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」するとしているが、「全国民を代表」するべく「正当に選挙」する選挙制度とは、どのようなものを想定しているのであろうか。

 憲法は、条文には出てこないが、政党政治を前提にしていると解釈されている。そうだとすると、国会議員を選ぶ選挙においては、主権者である国民は、自分の投票が完全な「死票」になるのではなく、可能な限り国会の構成に反映してもらう権利があるというべきであり、そのためには、投票した政党が、その獲得した得票率にできるだけ近い議席数を得るような選挙制度が憲法上要請されているというべきである。そのような制度としては、いわゆる比例代表制(これには全国単一と、ブロック別がある)がベストであるが、かつてのような中選挙区制もこれに近い結果となる。

◆小選挙区制は憲法違反の選挙制度
 これに対して、現在のような小選挙区制は、死票の率が極めて多く(例えばある小選挙区に4人が立候補し、4:3:2:1の得票割合だったとすると、1位の人以外に投票した6割の票が完全に死票になる。そして、これを全国で見ると、わずか3割台の得票率の政党が、議席の8割を占めるという結果もあり得ることになるのである。これでは、憲法の予定している正当な選挙方法とはいえない。

 実際、前回2012年12月の総選挙では、自民党は、比例区では得票数が前回よりも219万票減らして1662万票(得票率27.6%)にとどまった。この27.6%というのが、国民の自民党に対する支持率であるといえる。

 にもかかわらず、小選挙区では得票率43.0%で(これは、小選挙区では自民党とせいぜい民主党くらいしか当選の可能性が少ないため、立候補者が減るからである)、全300小選挙区議席に占める割合(議席占有率)は79%に達した。わずか2割台の支持率の自民党が、小選挙区では8割もの議席を得たのである。

 そして、小選挙区と比例区を合わせた議席数は294議席となり(前回の09年総選挙よりプラス175)、公明党の31議席(プラス10)と合わせて3分の2を超える320議席を獲得したのである。

 実質的には2割台の支持しか受けていない政党が、国会で圧倒的多数の議席を得る──このように民意を極端にゆがめる制度は、憲法の予定する「正当な選挙」とはいえず、憲法違反の選挙制度ではないだろうか。
 この点、導入当初の考え方は、「世論の反映」を比例区で、「世論の集約」を小選挙区で行い、両者の定数を半々とするというところからスタートしたのに、その後、比例区の定数だけが減らされ続けて現在に至っているのである。 

 しかも、選挙の時に吹いている「風」によって議席数は劇的に変わり、「風」にあおられたベテラン議員は大量に落選し、「一年生議員」ばかりが増えることになり、議員の資質や国会審議も大きく劣化していることは、当時小選挙区制を導入した人たちも含め、ベテランの国会議員や専門家がつとに指摘しているところである。

 私は、このような現状を憂える心ある国民や政治家は、今こそ、小選挙区制の廃止(中選挙区制の復活又は全国ないしブロック別の比例代表制)に向けた国民運動を、憲法訴訟も含めて展開すべきだと思う。

 投票価値の平等(一票の重みの格差)についてはこれまで裁判が粘り強く行われてきているが、この小選挙区制による民意の歪曲や膨大な完全死票の問題も、一票の格差以上に重要な問題ではないだろうか。

 それに、一票の格差の問題自体、無理な小選挙区の区割りによって生じているものであり、比例代表制にすれば一票の格差は限りなくゼロに近づき、中選挙区制の場合も、相当程度格差を小さくすることが可能になるのである。

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◆小選挙区制のもとでの野党連携の必要性
 しかし、少なくとも現時点においては、現在の小選挙区制で選挙が行われる以上、その弊害を少しでも減らし、民意に近い国会構成にすべきである。そのためには、何が必要だろうか。

 私は、それは「野党共闘」又は少なくとも「野党連携」ではないかと思う。
 例えば、政策的に自民党と対局にある日本共産党と社民党は、現在では主要な政策はほとんど共通しており、沖縄や労働者派遣法、新しい労働時間制度などの悪法反対の闘争では共闘が行われている。そうであれば、これら両党の間で一定のルールを決めて(例えば、直近の世論調査での政党支持率など)、選挙区を超えた調整・連携がなされるべきである。「連携」のレベルには、「政策協定」まで締結できるレベル(Aランク)から、「支持」や「推薦」レベル(Bランク)、さらには自党からの立候補見送りによる間接的協力(Cランク)など、さまざまなレベルがあってよいと思う。例えば、甲党(支持率4%)と乙党(2%)が連携する場合、Bランクの連携として、乙党は甲党を2選挙区で推薦し、甲党は乙党を1選挙区で推薦する、といった具合である。

 もちろん、本来は政策協定までも締結することが望ましいが、そんなことを言っていてはいつまでも「泡沫候補同士の足の引っ張りあい」にならざるを得ない。選挙は当選しなければ意味がなく、「独自の闘い」や「善戦」では、ダメなのである。

 もちろん、比例代表での議席を狙うことは大切だが、比例区の定数はどんどん減らされつつあり、最終的にはゼロにされてしまう可能性もある(そのようなことを許してはならないが)。国会で多数を獲得して政権を取ろうとする以上、小選挙区制でどう多数をとるかを本気で考えないと、政権をとるなど夢のまた夢である。

 今回もまたこれまでのように、野党が一強多弱で選挙に臨むならば、実質的に選択肢のない有権者は白け、投票率は上がらず、その結果、「自民・民主」の二大政党制ならぬ「自民と無関心」の二大政党制になり、日本は破滅に向かうことは確実である。

 この問題は、単にどの政党に有利だとか不利だとかという問題ではなく、日本の民主主義の根幹に関わる問題なのである。

 難しいとは思いつつ、大なり小なり政策を共通にする野党同士で、離合集散ではない、地に足のついた連携が模索されることを、切に願うものである。

 ※下の写真は、大阪・天満橋から西方向を撮影。


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