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2015年4月 8日 (水)

No.233 「大綱(案)骨子」に対し、渾身の力で意見を述べました──第3回過労死防止協議会

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◆4月6日、過労死防止法に基づいて設置された「過労死等防止対策推進協議会」の第3回会合が、厚労省の省議室で開かれた。
 この日は、その数日前に内示を受けた厚労省事務局作成の「過労死等防止対策大綱(案)骨子」について、集中的な意見交換が行われた。
 (この「骨子」は、厚労省のサイトに公表されている。「議事次第」の次の「資料」である。)

 この日正式に示された「骨子」に対して、今回の議論を踏まえて肉付けがなされ、4月末頃と予想される次回協議会には、ほぼ「大綱」の成案が示されると考えられることから、今回の意見交換は大変重要なもので、大綱作成の「山場」と言っても過言でなかったといえる。

 そこで、私たち過労死遺族と過労死弁護団所属の協議会委員7名は、ある程度分担して、既に3月13日、7名連名で提出していた「大綱(案)」を踏まえ、今回の「骨子」に対して積極的に意見を述べた。

◆私は、主として「啓発」「相談体制の整備」「過労死防止に取り組む民間団体の支援」の3つについて、以下のような意見を述べた(順序を変えるなどして整理している)。

【1】「第2 現状」について

・「2 脳・心臓疾患、精神障害に係る労災補償等の状況」について、労災認定件数しか記載されていないが、労災申請件数も記載すべきである。
・「3 自殺の状況」を入れるのであれば、その前に「脳・心臓疾患の状況」の項目があってしかるべきであるが、現在そこに記載するデータがないのであれば、そのこと自体を記載すべきであるし、少なくとも在職死亡者数を書いておくべきである。

【2】第3の「2 各対策の基本的考え方」について
「(2) 啓発の基本的考え方」について
・「過労死等の防止のためには法令順守のための啓発指導が重要」としたことは意義であるが、狭い意味の法令にとどまらず、「過労死等の防止のために有効な通達の普及啓発」も含めるべきである。
・「教育を通じた啓発」は法第9条が定めているところであり、「広報を通じた啓発」と並ぶ2本柱の一つとしてきちんと位置づけた記述にすべきである。
「(3) 相談体制の整備等の基本的考え方」について
・外的原因がはっきりしているメンタル不調については、外的原因の除去こそが重要なはずであるから、メンタル不調の相談者を精神科医療に回して終わりということにならないようにしなければならない。

【3】第4の「2 啓発」について
・前提として、「労働時間の適正な把握についての啓発の実施」が重要であるので、これを挿入すべきである。
・「過重労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業(及び自治体)などが社会的に評価されるような顕彰制度や賞などを作り、キャンペーンを行うべきである。
・中学校、高校、大学、専門学校等のすべての段階の学校において、過労死の実態と防止対策を効果的に教える機会を作ることが必要である。
・中・高等教育の段階では、過労死に関する基本的な知識、健康に働くことの大切さ、過労死防止のための対策、ワークルール(労働法)の基本的な知識を教えることが重要である。特に、働く者のいのちと健康に直結するルール(労働時間・休息・休日・有給休暇など)、労働条件の明示、退職の自由、健康診断など健康管理に関するルールなどをわかりやすく教えることが大切である。
・これらの教育活動を推進するために、専門家や過労死防止活動を行っている民間団体と協力して、教育段階に則したわかりやすり教材を作ることが効果的である。
・これらの教育活動全般を推進するため、厚生労働省、文部科学省などの関係省庁の連携、国・地方自治体と民間団体、過労死家族、専門家などが協力・連携していくことが大切である。

【4】第4の「3 相談体制の整備等」について
・「相談窓口の整備」、「相談対応者の育成と配置」、「相談に行きやすくする環境整備」の3つを意識した記述にすべきである。
・多彩な相談窓口の開設(労働局や労基署、ハローワークだけでなく、地方自治体、労政事務所、業界団体、事業者団体、裁判所、弁護士会、社会保険労務士会など)、法的ケアと医学的ケアのそれぞれについての関係団体・専門家との連携を挙げるべきである。
・研修については、過労死等についての相談対応者の認定資格((仮称)「健康労働コンサルタント」)を創設し、従業員数等に応じて資格取得者数の目安(例えば50人に1人)を作り、資格取得を奨励することが検討されるべきである。
・これらの重点対策について、関係専門家団体や民間団体との連携を挙げるべきである。

【5】第4の「4 民間団体の活動に対する支援」について
・「過労死等防止対策推進シンポジウムの開催」にとどまらず、過労死を考える家族の会や過労死弁護団全国連絡会議といった民間団体の過労死等の防止に関する活動自体の支援を積極的に打ち出すべきであり、国や地方公共団体の後援はもちろん、経済的な支援も行われるべきである。

◆私以外の6人のメンバーも積極的に意見を述べた。
 川人弁護士は、「これまで行われてきた労働時間規制の例外の制度(裁量労働制、変形労働時間制、管理監督者など)について、それらと過労死発生との関係について、速やかに調査を実施・分析すべきである。現在、労働時間規制の例外を拡大する労働基準法改正が焦点になっているが、本来過労死防止法の趣旨にかんがみれば、労働時間規制の例外が過労死発生とどのような関係にあるのかを十分に調査・議論したうえで、法改正の提案がなされるべきであるのに、それが何らなされない段階で労働基準法改正案が閣議決定され、国会上程されたことは、誠に遺憾である。」と述べたことは、大変重要な指摘であると思う。
 また、労働者代表委員、さらには使用者代表委員、他の専門家委員の皆さんも、それぞれ前向きな意見を述べられ、議論が相当深まったと思う。

◆冒頭に述べたように、今回の会合での議論を踏まえて「大綱(案)」が成文化され、次回の協議会に提案されると思われる。
 したがって、今回の協議会で適切な意見が出されたかどうか、それが次回までに「大綱(案)」にきちんと反映されるかが、極めて重要である。
 今回、私たちはやれることはやり切ったと思う。次回提案される「大綱(案)」に注文したい。

 ※写真は、傍聴されたIさんのフェイスブックへの投稿から借用させていただいた。
  対面の中央あたりに、小さく私が写っている。


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