No.245 原発被災後の老夫婦を描く──劇「東の風が吹くとき」を観て
昨日6月21日、芦原橋の「リバティー大阪」で上演された、“劇団きづがわ”による劇「東の風が吹くとき」(作・高木 達、演出・林田時夫)を観てきた。
慎ましく暮らしてきた3世代にわたる酪農と農業を営む佐藤倉治一家。福島原発事故後、この村は「全村避難区域」となり、農作物の作付は禁止され、搾乳した牛乳は捨てられ、肉牛も乳牛も屠殺され処分される。孫夫婦は避難先の温泉に避難させられ、娘夫婦は北海道への移住を決断するが、老夫婦はこの地に残って放射能の中で生きる道を選ぶ。
「直ちに影響はない」という政府の役人の言葉に対し、「直ちに影響があった。家族はバラバラ、村もバラバラ。」という倉治の言葉が重く響く。
恥ずかしながら私は、特に福島原発被害についてはほとんど実態を知らなかった。このような悲劇があり、それは今も続いていることを身近に感じることができた。
脚本を書いた高木 達さんは、いわき市出身で自らの実家も東日本大震災による津波で被災したとのことである。「いわき演劇の会」が市民から出演者を募り、2013年いわき市と東京都内で上演されたようである。
この劇に、大阪の劇団きづがわが挑戦したのが、今回の公演である。
劇団きづがわは、働く人々の権利、平和など社会的テーマの作品を多く上演し続けてきた。今回の公演が第70回とのことであり、また、1963年の創立から50年を超えたという。すごいことだと思う。
私は1992年に、平岡さん過労死事件をテーマにした劇「突然の明日~もう一度だけあなたの声が聞きたい―」の上演運動に取り組んだことがあった。同年8月に名古屋の“希求座”が富田林で(2日間・2公演で1300人)、12月に“劇団きづがわ”が大阪市内で(2日間・3公演で2200人)それぞれ公演をするという、やや無茶ともいえる大変な取組であったが、この成功によって、大阪での過労死問題に対する理解が一気に広がったことを身をもって経験した。
それ以降、きづがわの上演があれば観せていただくようにしている。最近では「美ら海」、「石流れ木の葉沈むとも~ダイキン労働者ものがたり」、「真珠の首飾り」を観せていただいた。
今回の劇を観て、劇団全体がいっそう円熟味を増してきていると感じる。
今後の林田時夫さんと劇団のいっそうのご活躍を期待したい。
なお、インターネットに、①上述した「いわき演劇の会」の上演準備の記事(福島民報)と、②東京での上演についてのテレビ報道があった。ぜひご参照ください。
ところで、この日たまたま同じ劇を観にきていた、天王寺法律事務所時代の同僚の事務局であったSさんと偶然に会い、一緒に食事をした。懐かしい思い出話や、これまでの苦労話に花が咲き、楽しいひとときを過ごした。
※画像は上から順に
①チラシの表面
②チラシの裏面
③福島第一原発事故の放射能汚染地図(群馬大学早川由紀夫教授作成、「福島原発事故の真実」のサイトより)
④出演された皆様(劇団きづがわのフェイスブックページより)
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