No.253 今の時代ゆえに、いっそうの感動──ミュージカル「レ・ミゼラブル」
8月28日夕方、梅田芸術劇場メインホールで公演中の東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」を妻と一緒に観てきた。
ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作としたこのミュージカルは、1985年以降世界各地で公演され、日本でも1987年以降断続的に公演が行われている。
今回の大阪公演は、8月8日~29日。私は千秋楽の1日前に行ったことになる。直前に申し込んだためS席しか残っていなかったが、奮発することにした。
実は、このミュージカルは以前にも観たことがあった。2000年前後だったと思うが、この時はファンティーヌ(娘のコゼットをジャン・バルジャンに預けて死んでしまう母親)の役を、岩崎宏美さんが演じていたのを覚えている。
今回、改めて観てみたいと思ったのは、2012年の冬に上演された同名の映画(ジャン・バルジャン役をヒューマン・ジャックマン、ファンティーヌ役をアン・ハサウェイが好演)を観て、とても良かったことから、映画とミュージカルを観比べてみたいという気持ちがあった。
それと、この数か月間、安保法案(戦争法案)をめぐる国会での採決強行の動きの中で、SEALD's(シールズ)などが中心となって、デモや集会などの街頭活動が空前の盛り上がりを見せている。これら若者の姿とこのミュージカルのクライマックスの場面が、私の中では重なり合うイメージがあったからである。
最終日の前日ということもあってか、会場はほぼ満席だった。
内容は、期待どおり最高だった。人や舞台装置の生の動きの迫力はすごい。また、歌がうまいし、声量がハンパじゃない。
また、ジャン・バルジャンがマリウスを背負って下水道の中を逃走する場面では背後に写る映像を上手く使っていたり、ジャベールが橋から川に身を投げる場面では橋の欄干をつり上げていくことによって落下を表現するなど、手法にすごく工夫をしていると感じた。
映画での、最初の船の甲板での強制労働の場面や、ジャベールの投身の場面などのCGも使った壮大な映像もすごかったが、それらを観ているだけに、舞台のすごさがよくわかった。
そして、やっぱりバリケードに若者たちが立て籠もり、銃撃戦で倒れていく場面は壮絶だった。
会場で購入したパンフレットに、若者たちが歌う挿入歌「民衆の歌」の歌詞が掲載されている。
戦う者の歌が聴こえるか?
鼓動があのドラムと響き合えば
新たに熱い生命が始まる
明日が来た時 そうさ明日が!列に入れよ 我らの味方に
砦の向こうに世界がある
戦え それが自由への道
(以下、略)
この市街戦のモデルとなったのは、1930年の「七月革命」で誕生した王政を打倒しようとする1932年のパリでの「6月暴動(別名パリ蜂起)」とのことである。群衆は「自由を、さもなければ死を」と叫び、バリケードを築いて抗争したが、死者93名、負傷者291名を出して鎮圧されたという(ウィキペディアより)。
多感な若者たちが武装蜂起して銃弾に倒れていくこの場面は、やはり涙を抑えられなかった。わずか200年近く前、20歳前後の若者たちが自由を叫びながら、政府軍に包囲され、銃弾に倒れていったのである。
今は、日本国憲法のおかげで、デモをしても銃撃されることはない。しかし、逆に、そのような自由を制限し、戦争に若者たちを送り出す動きが強まっている。そのような反動的な動きに対する若者たちの叫びが世の人々を励まし、世の中を動かすというのは、いつの時代も同じだと思う。
折しも明日8月30日、国会前10万人、全国で100万人規模で、安保法案反対の集会・デモが計画されている。私は若者どころか、「ミドルズ」の最年長付近に位置するロートルだが、明日は、自らの意志で扇町公園での集会に参加したいと思う。
※画像は上から
①メイン会場1階に張り出されていた横断幕
②2012年の映画のポスター
③この日の公演時間とキャストの紹介
④バリケードの場面(インターネットより)
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