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2016年2月 5日 (金)

No.271 「ブラック社労士」の放置は許されない(その4)

■全国社労士会連合会の会長インタビュー
 朝日新聞デジタルに、全国社労士会連合会の大西建造会長のインタビューが掲載された。

 今回のような事案の背景には、毎年1000人という急速な社労士の増加のもとでの過度の競争があるという。それを言えば、弁護士の場合は毎年2500人くらい激増しているのだから、弁護士についても同じような問題が起こりうるし、現に一部に起こっている。

社労士の役割、どう考える 「社員をうつ病に」ブログ問題 大西健造・全国社労士会連合会会長

朝日新聞デジタル2016年1月29日05時00分

 「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」をブログに書いた愛知県の社会保険労務士が、県の社労士会から処分を受けた。厚生労働省も処分する方向だ。今回のブログ記事や社労士の役割について、全国社会保険労務士会連合会の大西健造会長に聞いた。


 ■安心できる職場づくり、大原則

 ――問題になったブログの内容をどう思いますか。

 「連合会会長として、全国の皆様に深くおわびしたい。とうてい考えられない内容で、社労士としてどうか、という以前の問題であり、きちんと対処することが組織に課せられた使命だと考えている。昨年12月25日に連合会長として声明を出し、愛知県社労士会も二つの処分を同時に行った。当然の処分だと思う」

 ――社労士は“企業寄り”だと思われているのではありませんか。

 「社労士の役割は、社労士法に定められている通り、『事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること』。確かに、社労士は会社側から顧問料を頂いているケースが多い。しかし、会社だけのことを考えていたのでは会社は発展しない。労働者の意向も尊重しなければ、会社が伸びるはずがない。伸びる会社は、労働者が安心して働くことができて、働きがいを感じている会社だと思う。そういう職場をつくるのが労務管理の大原則だ」

 ――社労士が経営者の意向に逆らうことは無理なのでは。

 「経営者の中には『自分が法律だ』という人もいる。社労士がいきなり『それは違う』と指摘すると、経営者のプライドが傷つくし、反発もある。そこをうまくやるのが社労士の仕事。長くお付き合いして、職場環境の改善を支援していくことがだいご味だ」

 ――一部の社労士が「ブラック企業」を支えているという批判があります。

 「4万人いる個々の社労士の業務をすべて把握することは難しいので、100%ないとは言い切れないが、本来であれば、『社長、それはあきまへんで』というのが社労士の役割だ」

 ――社労士の数が増えています。競争が厳しくて刺激的なことをいう人がいるのでは。

 「ここ数年、会員数は毎年約1千人増えている。適度な競争は依頼者の利益につながるが、刺激的なホームページや過度の競争は望ましいことではない。連合会や都道府県会でも、会員のホームページをチェックしており、極端な内容であれば指導している。今回の件も報道以前に把握しており、対応を協議していた」

 ――昨年4月に改正社労士法が施行されて、業域が広がりました。

 「社労士制度は2年後に創設50周年を迎える。業務は一層高度になっている。連合会は業域を拡大することを目指しているが、そのためには、国民から信頼していただくことが大前提だ。今回のようなことがあると、社労士のイメージが落ちてしまいかねない。今後はこういうことがないように、都道府県会と会員に情報発信していきたい」

 (聞き手=編集委員・沢路毅彦)


 ■厚労省も処分を検討

 問題になったのは「すご腕社労士の首切りブログ」。昨年11月24日付で「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題された記事が掲載された。

 ツイッターなどで批判が相次ぎ、12月4日夕方時点で記者が確認すると記事は削除されていた。

 愛知県社労士会はこの社労士の会員権を3年間停止し、退会を勧告。ただし、勧告に強制力はなく、会員権を停止されても社労士の業務はできる。業務停止の処分を出せるのは、監督官庁である厚生労働省。厚労省は2月に本人から事情を聴き、処分を決める。

 これまでの処分は、具体的な法律違反があったケースがほとんどで、講演会での発言やブログの記事などを理由にした処分は「前例がない」(厚労省監督課)という。

 若者に劣悪な労働環境を強いる「ブラック企業」の背後には、社労士や弁護士などの専門家がいるという指摘がある。「ブラック企業ビジネス」(朝日新書)の著者でもあるNPO法人POSSEの今野晴貴代表は「違法だとわかっているのに、違法行為を指南する社労士がいる。法的正義ではなくビジネスチャンスを広げることを考えている。こうした“ブラック士業”の取り締まりが急務だ」と話す。

 ◆キーワード

 <社会保険労務士(社労士)> 労働・社会保険の手続きや人事・労務の専門家としてアドバイスをする国家資格。社労士として仕事をするには、社会保険労務士試験に合格し、社労士名簿に登録する必要がある。現在の登録者は約4万人。

 研修・試験をへて特定社労士になると、労働者個人と企業の間で起きた紛争をあっせんする仕事もできる。昨年4月の改正法施行で(1)社労士が単独で扱える労使紛争の金額を120万円に引き上げ(2)裁判で、労務管理・社会保険に関して弁護士とともに陳述することができる、など権限が拡大された。

■K社労士に対し「業務停止3か月」の可能性
 2月4日の朝日新聞デジタルは、次の記事を配信した。

労務士、業務停止3カ月へ 「うつ病に」ブログで厚労省

朝日新聞デジタル 2月4日(木)12時46分配信

 愛知県内のベテラン社会保険労務士の男性がブログに「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章を載せた問題で、厚生労働省は4日、懲戒処分に向けた聴聞手続きを愛知労働局で開き、業務停止3カ月とする方針を本人に伝えた。

 社労士は「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」として、業務停止でなく戒告にとどめるよう求めた。厚労省は本人の釈明を踏まえ月内にも処分を決める。

 問題の文章は連載「すご腕社労士の首切りブログ」で昨年11月に掲載。社員を「うつ病にして会社から追放したい」という質問に答える形で、「失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること」を社員に繰り返し、ノートに書かせるよう勧めるなどの内容だった。

 厚労省側は聴聞で、この回を含む昨年7~12月の掲載内容について「労働者への違法な権利侵害をそそのかすような内容で、社労士の信用・品位を害する」と指摘。社労士法が禁じる「重大な非行」に当たるとした。(斉藤太郎)

 社労士に対する懲戒処分は厚生労働大臣が行い、①戒告、②1年以内の業務停止、③失格(注、資格剥奪のこと)の3種類が法定されている(社労士法25条、25条の3)。

 その処分に当たっては、公開の「聴聞」期日が行われることになっており(社労士法25条の4)、この日の聴聞期日で、厚労大臣が処分内容を示したうえで、本人の弁明を聴いたものと思われる。

 今回、厚労大臣が示した「業務停止3か月」という方針は、妥当だろうか。

 私は、今回のブログ内容のひどさ、本人に十分な反省が見られないこと、社会的な反響の大きさ、社労士に対する信頼を大きく損なったことなどから考えると、③の失格処分とされてもおかしくなかったし、業務停止にとどめるとしても、少なくとも6か月以上とされるべきであったと思う。
(ちなみに、弁護士の場合、懲戒の種類は①戒告、②2年以内の業務停止、③退会命令、④除名の4種類となっており、そもそも社労士について業務停止が「1年以内」までとされているのはアンバランスといえる。)

 とはいえ、業務停止は、たとえ1か月であっても、すべての顧問契約を無条件で解除しなければならず(仮に、裏で再契約の約束をしてばれると、それ自体が新たに懲戒処分の対象となると考えられる。)、本人に対する打撃は大きい。

 これに対して「戒告」の場合はそのようなことはないため、本人への打撃は小さく、「この程度のことをしても戒告になるだけだ」という受け止めになり、一般予防の効果も小さい。

 そう考えると、業務停止3か月というのは、厳しい処分であることは間違いない。

 今回の処分を契機に、弁護士や税理士なども含め、士業者のあり方が厳しく問われることになったといえよう。
 何よりもK社労士には、猛省を求めたい。


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3-2 ブラック企業に負けない!」カテゴリの記事

コメント

そうそうに処分して幕引きを狙ったのかもしれませんが、この処分に世論が納得するかは疑問ですね…
世論の社会保険労務士に対する厳しい視線は、今後も続くことになると思います。

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