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2016年7月の3件の記事

2016年7月31日 (日)

No.290 「ポケモンGO」現象の危険性と懸念

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◆7月22日に日本でも配信が開始された、スマホゲームの「ポケモンGO」。今日の朝日新聞によると、3日間のアプリのダウンロード数は1147万人という。すごい数だ。
 既に、地下鉄の電車の中や駅の構内でも、ゲームに興じている人をたくさん見かける。

 このゲームは、これまでのテレビゲームやスマホゲームとは異なり、現実社会と仮想社会がリンクされ、仮想社会の「ポケモン」(怪獣キャラクター)を探すために、現実社会に出かけていくゲームである(AR(拡張現実)ゲームというらしい)。つまり、現実社会がゲームの舞台となるのである。

◆その発想や技術力にはすごいものがあるが、以下のような問題点が指摘されている。
①ポケモンの出現場所や拠点(「ポケストップ」や「ジム」)を運営者が自由に設定できることである。
 その結果、危険な場所(高速道路や線路、飛行場、がけ、原発敷地内など)や、静謐(せいひつ)が求められる場所(墓地や皇居、原爆公園など)にポケモン探しの人が立ち入ったり集まったりする。他人の敷地に不法侵入してしまうこともあり得る。

 また、人の流れを運営者が変えることができる。特定のファストフード店やコンビニチェーンと連携して「拠点」にしたり、情緒ある文化・観光スポットにプレーヤーが殺到したりしている。ラブホテル街がポケストップになって、ホテルが困惑したり子どもによくないという状況もあるそうだ。不都合がある場合は運営会社(ナイアンテック社)の公式サイトから削除申請ができるというが、まずは勝手に運営会社が決められるというのはおかしい。まるで、「送りつけ商法」みたいである。
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②必然的に「歩きスマホ」や「ながらスマホ」をすることが多くなり、集中力が落ちて、本人と周囲の人々との間でトラブルや危険が高まらざるを得ないことである。
 これまでも「歩きスマホ」や車・自転車を運転しながらのスマホは社会問題となっていたが、このゲームは、「現実社会を歩いてキャラクターを探すこと」にあるため、「移動しながらゲームをする」ことが本質的に組み込まれている点で、これまでのゲームとは決定的に異なるといえる。

 集中力や周辺への配慮が落ちることによる交通事故や転落事故、赤ちゃんの車内放置事故などが懸念される。実際、追突事故などが相当起こっているようである。
 運転中の携帯・スマホの使用(通話使用のみならず、画像注視も含まれている。)は道交法違反(71条5号の5)とされ、また「歩きスマホはやめましょう」などのキャンペーンが行われてきたが、その違反や無視の激増が危惧される。

 また、画面を保存するためにスクショ(スクリーンショット)を撮ったところ、そのシャッター音を、近くにいた人が自分が写真を撮られたと勘違いして暴力を振るったというニュースも流れていた。逆に、スクショを口実にして盗撮をするといったことも考えられる。
 気づいたら深夜に人気のないところを徘徊していたり、おびき寄せられて強盗・恐喝や性被害に遭う事例も出てくるかもしれない。

③ このゲームに関連して起こった事故やトラブルに関して、ゲーム会社の責任を問うことが極めて難しいことである。
 このゲームは、日本の「任天堂」(京都)と関連会社の「ポケモン」(東京)、アメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が共同で企画したものだが、ゲームの開発や運営はナイアンティック社が担っている。事故やトラブルをめぐって裁判を行う場合、同社の約款では、同社はいっさい責任を負わず、かつ、裁判はアメリカのカリフォルニア州でしか起こせないとされている。

 プレーしていなかった被害者は約款に拘束されないし、プレーヤーも、一方的に不利な約款として消費者契約法上無効であると主張する余地があると思われるが、上記のように影響が極めて大きいゲームなのに、運営会社は全く責任を負わないという立場なのである。

④自分の位置情報が第三者や捜査機関に把握され得ること
 このゲームは、スマホの「位置情報」を利用するため、自分の位置情報をリアルタイムで公開してしまう。そのため、プレーヤーの行動範囲や自宅、勤務先などが分かってしまうリスクがある。他のプレーヤーなどの第三者に悪用されてストーカー被害に遭ったりする例もあるようだ。

 保存された情報が外部に提供されることも否定できない。ナイアンティック社のプライバシーポリシーでは、情報を捜査当局などに開示する規定がある。開示する相手に日本の捜査当局が含まれるかどうかや、情報の範囲などについては、はっきりしていない。運営会社がこれを犯罪調査などのために警察に提出するなどの可能性もあるのではないだろうか。
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⑤より文化的、社会的な観点からは、現実社会をただの舞台として見てしまい、
・現実社会に対する敏感さや謙虚さが損なわれる
・思考力や感情が乏しくなる
・主体性を失い、惰性的になる
・コミュニケーション能力が減退し、現実社会での社会連帯が難しくなる
といった危惧が指摘されていることである。

 この点について、漫画家のやくみつるさんは、テレビ番組の中で、「こんなことに打ち興じている人を、心の底から侮蔑します。現実は面白いことに満ち溢れているわけです。道端の植え込みだって、そんな中にいる虫にだって興味を示せばいいものを、そこを見ながら現実的じゃないものを探す。
 親はもっと楽しいものを子供に提供する義務があります。親も一緒になって打ち興じたら、アホな子にしか育たないですよ。」
との辛辣な意見を述べている。

◆私自身はゲームは嫌いではないし(最近はもうほとんどやらないが)、科学の進歩によって楽しいゲームが作られ、多くの人たちが楽しむことは良いことだと思う。
 しかし、現実社会を舞台にした仮想ゲームについては、今後、法的・社会的なルールの確立と、社会的な議論の必要があるのではないだろうか。

 ※画像は上から
 ①ポケモンGOの画面
 ②現実社会の映像の中にいるポケモン
 ③Steve Cuttsというイラストレーターが、スマートフォン中毒になった現代人を誇張して表現したイラスト(インターネットより)。まるでゾンビのようである。


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2016年7月19日 (火)

No.289 無差別テロの恐怖と、日本の果たすべき役割

◆頻発する無差別テロ

 世界各地で一般市民を巻き込んだ無差別テロが頻発している。この半年あまりだけをとってみても、次のようなものがある。
 ①2015年11月15日 フランス・パリで同時多発テロ(銃撃と爆発)、130人が死亡
 ②2016年3月22日 ベルギー・ブリュッセル国際空港と地下鉄で自爆テロ、36人が死亡
 ③6月28日 トルコ・イスタンブールのアタチュルク空港で自爆テロ、48人死亡(犯人を含む)
 ④7月1日 バングラデシュ・ダッカのレストランの襲撃と爆発で、日本人7人を含む28人が死亡
 ⑤7月14日 フランス・ニースでトラックが一般市民を襲撃、84人が死亡

 これ以外に、もちろんイラクやアフガニスタン、トルコなどでは毎日のように自爆テロが起こっているが、上記の無差別テロは、私たち日本人も海外旅行で訪れる観光地や国際空港で行われ、私たち日本人もいつ巻き込まれてもおかしくない事件である。

 特にバングラデシュの事件では、現地で様々な支援活動をしている日本人が狙われたと見られている。恐らくこんなことは初めてではないだろうか。
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 私自身、2013年4月末に、ジュネーブで行われた国連社会権規約委員会の日本審査会議の傍聴(「No.118 国連社会権規約委員会が、過労死・過労自殺の防止を日本政府に勧告!」参照)に先立ってパリ市内を観光し、また、傍聴ツアー解散後のプライベートツアーで5月初め、ニースなど南フランスを観光し、最後に再びパリに戻って日本に帰国した。

 また、2014年4月中旬、ベルギーのブリュッセルで開かれた国際法律家協会(IADL)大会参加をメインとするツアーに参加した(「No.176 世界各地の人権闘争を交流し合う意義───IADLブリュッセル大会とポーランドの旅(その1)」参照)。

 さらに、バングラデシュではないが、その北西にあるネパールのカトマンズで開かれた第6回アジア太平洋法律家会議(COLAP6)に参加するために、6月17日から23日までネパールを訪問してきた(「No.287 アジア・太平洋の22か国の法律家がネパールに集う」参照)。

 そのような、自分が行ってきた都市や空港での無差別テロのニュースや映像を見ると、自分が巻き込まれたらどうだろうかと震え上がる。これからは外国に行くこと自体、そのつど躊躇することになるだろう。
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 特に、南フランスのニースの無差別殺人が行われた美しい海岸は、私と妻が一泊して歩いたところであり、あんな穏やかな観光地で事件が起こったことが、いまだに信じられない。

◆無差別テロが起こる背景・原因

 安倍首相をはじめ、各国のトップの人たちは安易に「テロに屈しない」などと威勢のいいことを言うが、自分はSPに四六時中警護されているのであり、被害に遭うのは何の罪もない一般市民である。また、このようなテロを完全に防止することは至難の技である。

 もちろんテロは断じて許されないものであり、糾弾することは当然であるが、このようなテロが行われる背景には、宗教対立に加えて、発展途上国における先進国同士の権益争い、先進国の収奪も一因となった貧困や失業、政治的不安定と大国の介入、武器の販売などがある。

 特に最近の無差別テロはイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)が関与しているものが多いが、そのような過激派組織が生まれたのは、アメリカが開始したイラク戦争が原因だと言われている。そのイラク戦争には多数の国が多国籍軍として参加し、日本もこれを支持したが、その口実とされた大量破壊兵器は見つからなかった。

 イギリスではつい最近の7月6日、英ブレア政権が2003年にイラク戦争に参戦した経緯や侵攻後の占領政策を検証した独立調査委員会(チルコット委員会)が報告書を公表した。参戦の決断を「(フセイン政権の)武装解除の平和的な方策を尽くす前に侵攻に参加した。軍事行動は当時、最後の手段ではなかった」と断じ、開戦から13年を経て、自国政府の判断や評価の過ちを厳しく指摘している。

 このように、米英主導で開始した「誤った戦争」が、今日の中東での内戦や世界各地での無差別テロにつながっているのである(ところで、小泉元首相は首相を降りてから、首相時代の原発推進政策を反省し、反原発を訴えているが、安易にアメリカに追随してイラク参戦を支持したことについては、反省しないのであろうか。自らが検証委員会を作り委員長になって調査してもよいのではないだろうか)。

◆日本の進むべき道

 現在の安倍政権は集団的自衛権や安保法制など、憲法の枠を超えてまで軍事力の拡大に前のめりであるが、現代の戦争は、単に軍艦や戦闘機や戦車を送り込むということだけでなく、このような自爆テロや無差別テロによって敵国に打撃を与えることも含まれるのである。

 ISに敵国と見なされ(バングラデシュ事件からわかるように、日本は既に敵と見なされている。)、パリやニースのようなことが、日本の銀座や湘南海岸で起こらないといえるのか。また、2020年の東京オリンピックの会場や各地の観光地で自爆テロが起こらないといえるのか。

 私は、今やすっかり傷ついてしまったが、日本が憲法9条のもとで長年にわたって築いてきた「平和ブランド」を復活させ、また日本の豊かな経済力を使って、平和主義国家日本にふさわしい平和外交や経済支援を行っていくべきではないかと思う。

◆憲法改正で導入しようとしている「緊急事態宣言」の恐ろしさ

 ところで、安倍政権は憲法改正を目論んでおり、自民党の改正案には「緊急事態条項」が盛り込まれ、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるとき」は緊急事態宣言を発することができ(草案98条1項)、その場合、「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができ」(同99条1項)、「内閣総理大臣は‥‥地方自治体の長に対して必要な指示をすることができ(同)、「何人も‥‥国その他公の機関の指示に従わなければならない」(同99条3項)とされている。

 もしこのような憲法改正がなされれば、日本国内で無差別テロが起こったような場合には「緊急事態宣言」が出されることになるだろう(実際、フランスでは前述のパリ同時多発テロ後に緊急事態宣言が出され、今般のニース事件で延長されている)。

 そのときには政令によって表現や集会の自由が制限されたり、新聞やテレビの報道が統制されることになるだろう。まるで近未来のSF小説のようなことが、現実のものになるかもしれない。

 日本国内での無差別テロももちろん怖いが、憲法が改正されて、それに対する報復戦争(アメリカのブッシュ大統領は9・11米同時多発テロに対して「これは戦争だ!」と叫び、その報復としてアフガニスタンへの空爆を開始した。)に走ったり、緊急事態宣言により戦時国家体制が作られることは、それ以上に恐ろしいと思うのである。

 ※写真は、2013年5月初めに訪れたニースの美しい海岸線(上)と、海岸脇の道路(下)

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2016年7月16日 (土)

No.288 柔らかな色気と情感に包まれて──高橋真梨子コンサート

 7月14日、春先から予約していた「高橋真梨子Concert vol.40 2016」(フェスティバルホール)に行ってきた。
 高橋真梨子さんのコンサートは初めてで、NHKの「SONGS」などを観て、いつかは行きたいと思っていたが、期待以上だった。
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 ①ちょっとハスキーで大人の色気と情感あふれる歌声。真梨子さんは本当に歌が上手いと思う。今年歌手生活50年とのこと。自ら今年67歳だとおっしゃったが、驚きの声が上った。
 ②舞台演出がきらびやかで美しい。曲に合わせて舞台装置や背景が変わり、メロディやリズムに合わせてライトが目まぐるしく動き、切り替わる。
 ③節目節目で話すトークがとても楽しい。ご自分でもおっしゃっていたが、上から目線でも下から目線でもなく、「みんなに会いたいから、必ずまた来てください」みたいな言葉は嫌味がなく、歌の上手さと併せて、「また来よう」という気持ちになる。だから、真梨子さんのコンサートは、リピーターが多いんだろう。客席には、リピーターと思われる人がたくさんいた。
 この人がクラブやスナックを開いたら、我々男性たちはもちろん、中高年の女性たちもたくさん通うのではないだろうか。
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 約2時間の間に次々と歌った曲数は21曲。これだけ聴ければ大満足という感じである。

 また、ご主人のヘンリー広瀬さんがリーダーの「ヘンリーバンド」の皆さんの歌とパフォーマンスも楽しかった。

 ところで、帰宅してから「ウィキペディア」を見て知ったのだが、高橋真梨子さんは両親とも広島で原爆に被爆し、お父さんは長く後遺症に苦しんだうえ39歳で亡くなったとのことである。あまりご本人はおっしゃらないようだが、いろんな思いがあるのではないかと思う。
 そんなことも含めて、私も「また行ってみたく」なったコンサートだった。

 ※画像上は、会場入口に貼ってあったポスター
      下は、同じく会場出口にあった曲目紹介

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