2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フォト

« No.289 無差別テロの恐怖と、日本の果たすべき役割 | トップページ | No.291 参議院の選挙制度改革に必要な視点 »

2016年7月31日 (日)

No.290 「ポケモンGO」現象の危険性と懸念

160731gamen
◆7月22日に日本でも配信が開始された、スマホゲームの「ポケモンGO」。今日の朝日新聞によると、3日間のアプリのダウンロード数は1147万人という。すごい数だ。
 既に、地下鉄の電車の中や駅の構内でも、ゲームに興じている人をたくさん見かける。

 このゲームは、これまでのテレビゲームやスマホゲームとは異なり、現実社会と仮想社会がリンクされ、仮想社会の「ポケモン」(怪獣キャラクター)を探すために、現実社会に出かけていくゲームである(AR(拡張現実)ゲームというらしい)。つまり、現実社会がゲームの舞台となるのである。

◆その発想や技術力にはすごいものがあるが、以下のような問題点が指摘されている。
①ポケモンの出現場所や拠点(「ポケストップ」や「ジム」)を運営者が自由に設定できることである。
 その結果、危険な場所(高速道路や線路、飛行場、がけ、原発敷地内など)や、静謐(せいひつ)が求められる場所(墓地や皇居、原爆公園など)にポケモン探しの人が立ち入ったり集まったりする。他人の敷地に不法侵入してしまうこともあり得る。

 また、人の流れを運営者が変えることができる。特定のファストフード店やコンビニチェーンと連携して「拠点」にしたり、情緒ある文化・観光スポットにプレーヤーが殺到したりしている。ラブホテル街がポケストップになって、ホテルが困惑したり子どもによくないという状況もあるそうだ。不都合がある場合は運営会社(ナイアンテック社)の公式サイトから削除申請ができるというが、まずは勝手に運営会社が決められるというのはおかしい。まるで、「送りつけ商法」みたいである。
160731160716pokemongo_eye700x336
②必然的に「歩きスマホ」や「ながらスマホ」をすることが多くなり、集中力が落ちて、本人と周囲の人々との間でトラブルや危険が高まらざるを得ないことである。
 これまでも「歩きスマホ」や車・自転車を運転しながらのスマホは社会問題となっていたが、このゲームは、「現実社会を歩いてキャラクターを探すこと」にあるため、「移動しながらゲームをする」ことが本質的に組み込まれている点で、これまでのゲームとは決定的に異なるといえる。

 集中力や周辺への配慮が落ちることによる交通事故や転落事故、赤ちゃんの車内放置事故などが懸念される。実際、追突事故などが相当起こっているようである。
 運転中の携帯・スマホの使用(通話使用のみならず、画像注視も含まれている。)は道交法違反(71条5号の5)とされ、また「歩きスマホはやめましょう」などのキャンペーンが行われてきたが、その違反や無視の激増が危惧される。

 また、画面を保存するためにスクショ(スクリーンショット)を撮ったところ、そのシャッター音を、近くにいた人が自分が写真を撮られたと勘違いして暴力を振るったというニュースも流れていた。逆に、スクショを口実にして盗撮をするといったことも考えられる。
 気づいたら深夜に人気のないところを徘徊していたり、おびき寄せられて強盗・恐喝や性被害に遭う事例も出てくるかもしれない。

③ このゲームに関連して起こった事故やトラブルに関して、ゲーム会社の責任を問うことが極めて難しいことである。
 このゲームは、日本の「任天堂」(京都)と関連会社の「ポケモン」(東京)、アメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が共同で企画したものだが、ゲームの開発や運営はナイアンティック社が担っている。事故やトラブルをめぐって裁判を行う場合、同社の約款では、同社はいっさい責任を負わず、かつ、裁判はアメリカのカリフォルニア州でしか起こせないとされている。

 プレーしていなかった被害者は約款に拘束されないし、プレーヤーも、一方的に不利な約款として消費者契約法上無効であると主張する余地があると思われるが、上記のように影響が極めて大きいゲームなのに、運営会社は全く責任を負わないという立場なのである。

④自分の位置情報が第三者や捜査機関に把握され得ること
 このゲームは、スマホの「位置情報」を利用するため、自分の位置情報をリアルタイムで公開してしまう。そのため、プレーヤーの行動範囲や自宅、勤務先などが分かってしまうリスクがある。他のプレーヤーなどの第三者に悪用されてストーカー被害に遭ったりする例もあるようだ。

 保存された情報が外部に提供されることも否定できない。ナイアンティック社のプライバシーポリシーでは、情報を捜査当局などに開示する規定がある。開示する相手に日本の捜査当局が含まれるかどうかや、情報の範囲などについては、はっきりしていない。運営会社がこれを犯罪調査などのために警察に提出するなどの可能性もあるのではないだろうか。
160731
⑤より文化的、社会的な観点からは、現実社会をただの舞台として見てしまい、
・現実社会に対する敏感さや謙虚さが損なわれる
・思考力や感情が乏しくなる
・主体性を失い、惰性的になる
・コミュニケーション能力が減退し、現実社会での社会連帯が難しくなる
といった危惧が指摘されていることである。

 この点について、漫画家のやくみつるさんは、テレビ番組の中で、「こんなことに打ち興じている人を、心の底から侮蔑します。現実は面白いことに満ち溢れているわけです。道端の植え込みだって、そんな中にいる虫にだって興味を示せばいいものを、そこを見ながら現実的じゃないものを探す。
 親はもっと楽しいものを子供に提供する義務があります。親も一緒になって打ち興じたら、アホな子にしか育たないですよ。」
との辛辣な意見を述べている。

◆私自身はゲームは嫌いではないし(最近はもうほとんどやらないが)、科学の進歩によって楽しいゲームが作られ、多くの人たちが楽しむことは良いことだと思う。
 しかし、現実社会を舞台にした仮想ゲームについては、今後、法的・社会的なルールの確立と、社会的な議論の必要があるのではないだろうか。

 ※画像は上から
 ①ポケモンGOの画面
 ②現実社会の映像の中にいるポケモン
 ③Steve Cuttsというイラストレーターが、スマートフォン中毒になった現代人を誇張して表現したイラスト(インターネットより)。まるでゾンビのようである。


         ↓   ↓   ↓  

♪ここまで読んで下さった方は・・・ワンクリックしていただけたらとっても嬉しく、励みになります。
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

« No.289 無差別テロの恐怖と、日本の果たすべき役割 | トップページ | No.291 参議院の選挙制度改革に必要な視点 »

6-1 思いつきエッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573062/63993218

この記事へのトラックバック一覧です: No.290 「ポケモンGO」現象の危険性と懸念:

« No.289 無差別テロの恐怖と、日本の果たすべき役割 | トップページ | No.291 参議院の選挙制度改革に必要な視点 »

無料ブログはココログ