No.295 「絶望の中でも希望を」──アニメ「君の名は。」人気の理由
3連休中日の9月18日(日)、今話題のアニメ「君の名は。」を観てきた。
8月末に観た「シン・ゴジラ」と並ぶ今年最大のヒット作と聞いていたが、事前の予備知識をまったく持たずに出かけたので、かえって新鮮だった。
驚いたのは、午後9時半ころからのレイトショーなのに、席が7割方埋まっていたこと。こんなにたくさんの観客を見るのは昔、子どもたちを連れて夏休みに観に行った「ジュラシックパーク」以来のような気がする。
作品は、まず、ストーリーが意外性があって面白い。思春期の同世代の男女が入れ替わるという展開、どこの誰かもわからない相手への想い、地方の山深い田舎での生活と大都会での生活の対照、地球に最接近した彗星の一部が分裂して落ちてくるというSF性、大惨事を知った男の子(立花瀧)が過去にいる女の子(宮水三葉)に入れ替わって救出しようとするタイム・パラドックス、それぞれ仲間の友人たちと力を合わせて運命(大災害)や権威(父親)に立ち向かっていく友情、神社や組ひも、黄昏(たそがれ)時といった神秘性など、楽しめる要素が満載である(もちろん、厳密に考えれば理屈上での突っ込み所はいろいろあるが、それを議論するのも楽しいだろう)。
それに加えて、大都会の喧騒や田舎の懐かしい風景、天空を横切る彗星など、絵が実に美しい。日本のアニメの美しさを改めて実感する。
そして、作品全体が、スピード感と音楽性、リズム性にあふれていて、ノリがいい。
ストーリーが、最後の最後までハラハラさせたうえで、ハッピーエンドになるのも気持ちがいい。最後に2人が揃って「君の名は?」というセリフでエンディングというのもニクい。
私がこの映画を観た翌日の9月19日(月)には「ニュース23」で、翌9月20日(火)には「報道ステーション」でもこの映画が取り上げられていた。
開始後1か月で既に観客動員は690万人、興業収入は91億円を突破したとのことである。
「報ステ」でインタビューに応じた新海誠監督は、「今の生活が明日どうなってしまうかわからない」という不安をみんなが感じている中で、「希望を持ってポジティブに今を生きよう」という思い(絶望の中での希望)を伝えたかった、それを求める若い人たちの心の穴にちょうどはまったと思う、という趣旨のことをおっしゃっていた。
そのように考えると、この映画は、東日本大震災や熊本地震などの自然災害や無差別殺人などによって人々が感じている暗い空気の中でも、希望を持って挑んでいきたいという「時代的気分」と重なり合ったのかもしれない。その意味では、「ありのままで」「自分を好きになって生きたい」というメッセージが共感を読んだ、一昨年の「アナと雪の女王」の大ヒットと共通するものがあるのではないだろうか。
そうだとすると、この「君の名は。」は、今後いっそう「国民現象」になっていく可能性もある。
そんな話題性十分のこのアニメ、皆さまもぜひご覧ください。
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