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2017年1月22日 (日)

No.309 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その1)

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 1月8日、新年最初の「サンデーモーニング」は、新春スペシャルとして「迷える世界~日本の立ち位置~」を放映した。
 私はいつもこの番組は録画しておいて後でさらっと観るだけなのだが、今回は、昨年アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選し就任を目前に控えていること、ヨーロッパや日本でも大きな歴史的な転換点に来ているのではないか(もしかしたら新たな戦前になりつつあるのではないか)という危機感があることから、じっくりと放送を観た。すると、予想以上に興味深い内容だったので、自分なりに吟味するため、その要点を書き起こしてみることにした。
 以下は、私なりの要点書き起こしにすぎず、正確な再現ではないことを、お断りしておく。また、◆印の見出しは私が付したもので、下線は私が興味深く感じた部分に付したものである(前半、後半に分けて投稿する。)。

(以下、番組書き起こし・前半)
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鵺(ぬえ)という妖怪は、不吉な時代に出る。鳴く夜は不吉なことが起こると言われる。
顔が猿、胴体が狸、手足が虎、尻尾が蛇。
平安時代末期に御所に現れたが、源頼政が退治した。
現代に現れたら、誰が退治するのか。番組の象徴として掲げたい。

◆格差と貧困への苛立ちが生み出した「トランプ大統領」
トランプを選んだアメリカで何が起きているのか。
1月20日に就任式の予定。
堂々とトランプ支持を語る人々。ニューヨーク
移民に対する差別・偏見を煽る数々の発言を続けている。
トランプ旋風の吹いた2015年、KKKは支部の数が72→190と、2倍以上に増加した。
ナチスドイツ式の敬礼をする新たな極右勢力が現れた。

ペンシルベニア州のジョンズタウン
伝統的に民主党の強いところだったが、今回はトランプが勝利。それに大きく貢献したのが白人中間層の怒りだった。
ペンシルバニアを含むアメリカの中・西部一帯(ニューヨーク、ペンシルベニア、オハイオ州はラストベルト(さびついた地域)と呼ばれている。
20世紀半ばまで鉄鋼・重工業などアメリカの主要産業の拠点として栄え、それを主に白人労働者が支えてきた。しかし、自由貿易によって製造業は衰退。
ラストベルトのうちミシガン、ウィスコンシン、オハイオ、ペンシルバニア、インディアナ州でトランプが勝利(他にイリノイ、ニューヨーク)。

ジョンズタウンの元溶接工、ポール・カジミアチャックさん(58歳)。溶接工として鉄道車両工場で勤務してきたが、9年前の工場閉鎖で失業。その後アルバイトをしながら看護学校に通い、今は看護師として働いている。
「溶接工のころの方が収入は良かった。今は変わった。倹約して何とかやっている。私の周りにも仕事のない人が多くいる。」
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アメリカ全体では景気が上向きで、失業率も下がっているが、製造業の就業者はこの20年ほどでおよそ3分の2に減っている。失業者も増加するなか、取り残される白人労働者の不満・不安を取り込んでいったのがトランプだった
トランプの演説「中国や日本から雇用を取り戻す」「アメリカを再び偉大な国にする」
ポール氏はこれまで民主党を支持してきたが、今回トランプに乗り換えた。
「選挙では(ワシントンの)ロビイストたちの声ばかりが取り入れられて、私たちは置いてきぼり。トランプ氏なら言ったことを守ってくれる」

不安・不満を生み出すアメリカ社会の崩壊。それは若者の教育現場にも及ぶ。
公立大学の授業料は15年間で約2倍になった。約7割が学生ローンを利用している。10万ドル(約1170万円)以上の債務を抱えている人が約203万人もいる。次世代の中間層になるべき若者たちにも崩壊の波が押し寄せている。
ケント州立大学を去年卒業したトニー・バイルシモさん(27歳)は、現在の学生ローン残高が約650万円。その重荷から、教師への道を諦めた。
「学生から大金をむしりとる金融会社は問題です。政府は企業が若い世代に重荷を課していることを理解していない。クリントン氏を好きになれなかったのは彼女が銀行・ウォール街と結びついているから。」

今、アメリカでは富裕層と貧困層の2極化が進行中。国民の7人に1人が貧困層といわれている。
こうした貧困層に追い打ちをかける事態も起きている。
ミシガン州デトロイト市にある工場跡地。デトロイト市は自動車産業の都市として発展したが、2013年7月に財政が破綻。その影響で警察や消防などの公共サービスが低下。
デトロイトは最盛期、年間1000万台の車を生産していたが、人口は185万人(1950年)から68万人(2012年)に6割減少。税収が落ち込み、公共サービスが低下。街灯の4割が消え、公園の7割が閉鎖。警察官も人員削減され、犯罪率が上昇。一時は全米で最も危険な街とまで言われた。アメリカではこのように十分な公共サービスを受けられない自治体が少なくない。

荒廃するアメリカ社会。人々の怒りは特定の人々にも向かっている。
メキシコと国境を接するアリゾナ州。武装した住民ンが不法移民の入国を監視している。「不法移民はアメリカ国民ではない。彼らは全てを奪っていく」「国境を開くと貧困が入り込んで社会環境が悪くなる」
アメリカの不法移民は1110万人で、アメリカの根幹を揺るがしかねない事態となっている。
アメリカの白人は1960年には85%だったのに、2011年には63%、2050年には47%になるといわれている。中南米からのヒスパニックが増えると言われている。移民国家としての多様性をエネルギーに成長してきたアメリカだが、白人が多数派でなくなるかもしれないという危機感は、アメリカが持つ価値観、寛容な精神に微妙な影を落とし始めている。
「私は中流階級の市民ですが、生活費を稼ぐだけで手いっぱい」(若い女性)
「この国は苦しんでいる人がたくさんいる。不法移民を受け入れて仕事を取られてしまった。移民には来てほしくない」(中年男性)
「もともと分断していた。トランプが分断したのではなく、分断していたからトランプ氏が勝ったんだ。」(中年男性)
かつての覇権国アメリカの崩壊は、今後世界にどのような影響をもたらすのか。

◆「トランプ政権」の性格と懸念
トランプは選挙後も、国境の壁、核能力・軍拡競争、テロ事件、アメリカ製品と雇用、中国の貿易批判などをツイッターで繰り返している。

(寺島実郎)
格差や貧困に対する苛立ちがトランプを大統領にしてしまった。しかし、この政権が始まる前から、この政権の性格が次第に見えてきている。政権の主要人事は、金融・財界、軍出身者を多用。保守強硬派や脱オバマ路線の人たちも並んでいる。産業と金融の違い。製造業が急速に衰えていくアメリカ。今回のトヨタ叩きに見えてきているように、保護主義で闘っていかなければならないという宿命を背負っているが、一方で驚くほどの金融シフトで、ウオールストリートをしばるという人事になっていない。財務長官も商務長官もウオールストリートのマネーゲーマー。産業については保護主義、金融については自由主義で股裂きのような状態。時間の経過とともに、国民の中に大きな失望が生まれる時が来るだろう

(姜)
今回の大統領選の対立は本来バーニー・サンダースとトランプの争いだった。自分たちを苦しめる人を選んでしまった。民主党はサンダースを候補者にして一騎討ちにさせる方がよかった。恐れているのは、軍人とビジネスマンなので、軍事ケインズ主義(軍事産業を通じて公共的な投資をしていくこと)が台頭し、軍事介入をしたり戦争を起こすこともあり得る。それを通じて国内の雇用が出てくるならいいのではないかという意見が出てくるのを危惧する。

(岸井)
80年代レーガン政権時代にアメリカにいたが、当時はみんなアメリカンドリームを信じていた。とにかく努力すれば成功するチャンスは平等にあると。これが完全に終わった。アメリカの失速。

(目加田説子)
大きな戦争で世界秩序を変えられる時代は終わった。共通のルールや共有できる価値観をいかに広げていけるのかが鍵になってくる。

◆EUを離脱したイギリスの場合
ニューヨークの人々の声。
イギリスでも同じような動き。
昨年6月、EU離脱をめぐる国民投票。当初の予想を覆し、離脱派が勝利した。イギリスが離脱を選んだEU欧州連合の発足の背景には、人類が過去に犯した過ちが深く関係している。有史以来戦争を繰り返してきたヨーロッパ。火種となったのは国境線。第1次世界大戦では、一般市民までが戦争に駆り出された。毒ガス兵器などで死者約3700万人。ヒトラー率いるナチス政権が台頭。世界は再び戦争の泥沼に。多くのユダヤ人が虐殺されるなど、死者は約6000万人。惨劇が再びヨーロッパで繰り返された。こうした悲惨な歴史への反省から、国境をなくすために作ったのがEU欧州連合だった。ユーロ紙幣には、開かれた共同体を示す門や窓、人と人との交流を意味する橋が描かれるなどEUの理念が刻まれている。2012年にはノーベル平和賞を受賞。平和に向けた人類の壮大な実験と呼ばれている。
なぜイギリスは離脱という選択をしたのか。

選択の裏には一人の政治家がいた。イギリス独立党の党首だったナイジェル・ファラージ氏。
ファラージ氏へのインタビュー。「誰をこの国に入れるかはその国が決めれなければならないのに、EUはそれを禁じている。誰でも日本に来られるようになったらどうする?イヤでしょう」
移民問題などで主導権を握るEUへの不満が支持を集めた。「国境を取り戻そう。イギリスへのパスポートを取り戻そう」
ドイツ メルケル首相「我々は助けを求めてヨーロッパに逃れてくる人々を尊重しなければならない」
しかし、イギリスでは東ヨーロッパからの移民が増加。生活が脅かされているとして反発が強まっている。特にその声が強かったのが、イギリス中部のボストン。75.6%がEU離脱に投票。

EU離脱に投票した作業員(45歳)
「EU諸国から多くの移民が来ていて仕事を狙っている。そのため以前より仕事が減った。最悪の時は週に1回しか仕事がない。」

このような不満を取り込んでいったのがファラージ氏だった。庶民派をアピールし、離脱に向け支持を獲得していった。
しかし、離脱が決まった後で問題が発覚。キャンペーン中、「イギリスはEUに毎週3億5000万ポンドを負担している。離脱すればその金を国営医療サービスに回せる」と宣伝したが、実際の負担は1億数千万ポンドで、誇張されたものだった。
離脱派の主張は誤りだったことを認め、突然独立党の党首を辞任。
離脱派はその後も集会を行っている。「イギリスは完全な主権国家となり、尊厳、世界での力を取り戻す」、「我々は自由で独立した国になれる」
こうした動きは、他国にも広がりを見せている。

(以下、後半「No.310 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その2)」に続く)

 ※画像(上から)
 ①新春スペシャルの冒頭
 ②今回の特番の象徴とされた「鵺」(ぬえ)
 ③20年間で3分の2に減少したアメリカの製造業就業者数


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