2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
フォト

« No.309 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その1) | トップページ | No.311 真に過労死を防止できる労働時間規制を!~長時間労働の規制を求める院内集会に350人~ »

2017年1月23日 (月)

No.310 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その2)

(前半「No.309 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その1)」から続く)

◆過激リーダーたちの共通点──ポピュリズム
今、ヨーロッパ諸国では、EUを支持する既成のリーダー(フランス・オランド大統領、ドイツ・メルケル首相)を、過激なリーダー(フランス国民戦線ル・ペン党首、オーストリア自由党、ドイツのための選択肢、オランダ自由党)が脅かし始めている。
170108img_4907

そのような過激なリーダーには共通点が見られるという。

高千穂大学国際政治学 五野井郁夫教授
人々の不満や怒りを吸収して、それを票につなげていく。敵と味方を区別し、敵と見なされたものを激しく攻撃していく。こうした動きを一般にポピュリズム、大衆迎合主義という。それを先導する者のことをポピュリストと呼ぶ。」
このようなリーダーたちが手を結ぶ可能性もある。

ファラージ氏がトランプの応援演説
トランプのツイッター「是非ファラージ氏をアメリカ大使として迎えたい」
彼らが求めている世界とは何か。

(安田菜津紀)
キャンペーンでの誇張宣伝は、難民問題でも見受けられた。もともと、大国が引いた国境線こそが今のひずみを生んでしまっている。今突きつけられていることの起点を自分たちが生み出したかもしれないという当事者性を取り戻せるかどうかが問われている。一国だけで負担できる問題ではないので、門戸を閉ざせば解決できるものではない。そのひずみが別のところにシフトしていくだけではないか。

(姜)
イギリスにもかつてはファシストがいた。オズワルド・モズレー。イタリアやナチスと強いつながりを持った。EUの場合、ドイツとフランスが最後の防波堤なので、フランス大統領選挙でこれが決壊すれば、EUは崩壊するのではないか。今年の最大のテーマは、フランスでも同じことが起きるかどうか。そうなるとかなり世界が変わる。オランダ、フランス、イタリア、ドイツ。

(寺島)
イギリスには、今や金融くらいしか世界に冠たる産業はない。ロールスロイスはドイツのBMW、ジャガーはインドの自動車会社の傘下に入ってしまっている。ロンドンシティの声を12月に行って聞いてきたが、ヘッジファンドの人たちはEUの縛りを否定し、離脱を支持した。今月イギリスの最高裁がEU離脱の手続(国会の承認の要否)について判断が下ることになっているので注目したい。

(岸田)
民主主義はポピュリズムに弱い。日本でも小泉は、政治不信が高まったときに「自民党をぶっ壊す」と言って出てきて、郵政選挙で刺客まで送り込んだ。独裁体制ができてしまう。

世界の声
ロンドン ナショナリズムの行き過ぎが怖い。
ロンドン 人種差別
ロンドン テロが心配
モスクワ 第3次世界大戦

◆「成長欲求」から「退行欲求」への逆行
トランプ氏とファラージ氏の主張は共通点が多い。
他者を排除する表現
人間が壁を作ってきた歴史
得体のしれない不安に突き動かされたとき、人は壁を作る。

早稲田大学名誉教授 加藤諦三(社会心理学)
「壁を作ることは、心に壁を作ることの象徴。人とのコミュニケーションができなくなったということ。自分の価値が否定されるのが怖いし、不安だから、自分の世界に閉じこもる。人間は矛盾した存在で、基本的に「成長欲求」と「退行欲求」を持っている。成長欲求は負担を背に成長していこうということ。大変厳しいが結果として人間にとって幸せに。退行欲求は、その場の満足を求める。負担から逃れたいという小さな子どものいいとこ取り。去年(2016年)は明らかに世界は成長欲求を拒否した壁を作った。去年の流れのままそれぞれの国が退行欲求に従えば、人類が成長を拒否した流れが主流になってしまう。非常に危険な状態になる。」
世界は壁を作り続けるのか。
170108img_4905_2
パネル
成長欲求は、コミュニケーションを求める、理念を追求し負担を背負う、長期的に考えるのに対し、退行欲求は、壁を作る、内向き、敵をつくる。

(姜)
アメリカの裕福な人たちの「gated city」を世界に広げようとしている。また、異質な人たちをあぶり出そうとする。「敵は外と内にいる」といってナチスはユダヤ人をあぶり出した。それが外側と通じているとする。それが分かりやすいのが「テロリスト」。日本の幕末期にも起きていた。「外からやってくる列強と呼応する内なる分子がいるはずだ。あぶり出さないと秩序が大変なことになる。」ある種の純化思想。自分たちを純化したい。これが悲劇を生んできたことは近代でいくつもあった。非常に危険。

(目加田)イギリスのEU離脱もアメリカのトランプ政権誕生も、よもやという形で起こった事件。結果はいずれも拮抗していた。大多数が支持していたわけではない。誰かのせいにしたり壁を作ったからといって、時間稼ぎはできるかもしれないが、問題が解決するわけではないことを冷静に受け止める必要がある。

(関口)
第二次世界大戦後、人類は成長欲求の方で進めてきたのに、逆に向き出したのか。
(寺島)
75億人のうち60億人以上は未だに成長欲求の中を生きている。途上国、新興国。求められているのはリーダーの見識。日本から見れば、羅針盤がなくなり、自分で考えないといけなくなってきている。

世界の声
バンコク
イスタンブール 右傾化の恐怖のトンネル

◆強いリーダー渇望と、インターネットによる加速
今世界を動かしているもう一つの力は、強いリーダーを求める群衆のエネルギー。

法政大学(経済学)竹田茂夫教授
一連の現象は、グローバル化した金融資本主義の一つの病。グローバル化によって製造業はどんどん賃金の安い国に流れ、アメリカ国内の製造業で働いていた人たちは見捨てられる。その結果、格差は拡大し、金融資本主義のトップにいる人たちは信じられないような高額の資産・所得を得る。少し前の言葉で言えば「勝ち組」「負け組」。社会が分断され、負け組の方で結局人がバラバラにされていく。」

難民・移民の流入が職を奪うというよりも、グローバル経済が生み出す格差拡大・生活不安などのゆがみこそが、むしろ根本的な問題。
こうした人々の動きを、急速により激しく加速させる背景は、インターネットの拡大。

高千穂大学国際政治学 五野井郁夫教授
インターネットの影響が非常に大きい。リーダーの根拠のない発言やデマをネットを介してうのみにする人が出てくる。そこで憎悪や差別感情が増幅されていく。」
ネット上で流れる根拠のないフェイクニュースをそのまま信じる人々や、ヘイトクライム(憎悪犯罪)も後を絶たない。
「今まで我々は、それを言ったらおしまいという建前があったはず。それをかなぐり捨てて、本音だけをストレートに言う。そこにタブーを破ったような快感がある。ポピュリズムは“多数者による支配”。多数派の意見こそ正しいということになると、少数者、マイノリティの権利が蹂躙される恐れがある。歴史的に振り返ると“ファシズム”がこれにあたる。」

ニューヨーク州立大学名誉教授 イマニュエル・ローラースティン氏
世界の覇権をめぐる歴史研究で知られる。
「アメリカの栄光は(少数派を含む)多様性にあるが、現実のアメリカはそれほど多様性に富んでいない。経済状況が悪化する中で人々はどんどん保守的になっている。保守的になればなるほど、人々は強い政府を求める。しかし、トランプ氏を支持した人々は1年後、2年後にはがっかりするだろう。どこかの時点で人々は言い出すだろう。「おいおい、あんなに約束したはずなのに具体的成果は何も無いじゃないか」と。第二次世界大戦が終わってから25年ほど、アメリカは世界で覇権的な力を持っていた。アメリカがやりたいと思うことは95%実現することができた。しかし、2016年、2017年の今、何の前提もなくアメリカに追随する国など存在しない。どの国も自国の利益を追求するうえで最善の同盟国の組み合わせを探っている。ただ一つ確かなことは、今まで40年、50年続いてきた“システム”、そして今後も20年くらいは続くと思われる今の“システム”は存続しないということ。2040、2050年ころには我々は新たな“システム”の中で生きているだろう。だが、それがどのような“システム”か、私にも予測できない」
これまで、70年から80年感覚で大きな変化が起きてきたという歴史上のジンクスがまた繰り返されることになるのか。

◆今、世界と日本に求められること
(寺島)
今年は明治維新から150年。明治維新から70、80年経った真珠湾前後ころ、日本は大きく迷い込んだ。それは、幕末維新の動乱期に歯を食いしばって耐えた人たちが歴史の前線から消えていった。歴史の教訓が伝わらなくなった。日本も戦後70年を過ぎて、歴史の教訓をどう整理し、伝えていくのかという場面に来ている。世界的に見れば、あまりに肥大化したグローバル金融資本主義をどうやって制御していくのかということに、いよいよ踏み込まなければならない時期に来ている

(姜)
戦後は、第一次、第二次世界大戦によって影響を受けた時代だった。逆説的だが、2つの世界大戦がもたらしたのは、みんなが限りなく平等に生きられるようにという「平等」だった。それとおさらばできると思ったこの時期に、気が付くと格差が広がり、第一次大戦以前の世界に戻っている
今大切なことは、中産層を安定的に増やす。医療、保険、介護、年金など、みんなが安心して暮らせるようなものに社会的資源を配分すること。目先の成長よりも、10年先の中産層の安定を作っていかないと、アメリカやイギリスのように浮遊していく。漂白しないためのアンカーを作っていく必要がある。
日本の独自性という点では、これまで会社の中に自分たちのアイデンティティを持ってきた。日本的経営がダメになったときに、ナショナリズムに行きやすい状況にある。ボランタリーな中間集団を作って、人々がすくい上げられる必要がある。自分一人だという感覚を持たせないために、NGO、NPOなどがもっともっとできる必要がある

(目加田)
確実に変化が起きている。国連で核兵器禁止交渉を110カ国以上が決めた。誰が本当に変化に対応できるのか。市民社会のエネルギーが、トランプなどが出てきたために活性化する可能性がある。オキュパイやもう一つの世界は可能など、問題が明確になることによって力が結集させていく可能性もある。人道主義、人権、平等など、人類が不断の努力で築いてきた価値観が崩れてしまうかもしれないという危機感。壊すのは一瞬だが築くのは本当に大変だということに気づいたうえで、新たな価値を築いていくことが求められている。

(安田)
現在世界を覆っている不寛容さを見ると、出自や宗教や置かれた立場などによる線引きが必要以上になされ、一人一人の顔が打ち消されて集団がノッペラボーになり、攻撃しやすくなっている。争いを始めるのは権力者であっても、それを広げるのは大衆やメディア。沈黙こそが集まって、不寛容さに向かう世界を築いてしまう。人と人とをつなぎ得る言葉を紡ぎあえる1年にしたい。

(岸井)
今が歴史の転換期。今までと質的に違う。これまでの人類の文明とは何かということが突きつけられている。ルネッサンス以来の意識の転換期を迎えている。

テロの惨劇
イスタンブール、ベルリン、アンカラ、アンカラ、ブリュッセル
シリア・アレッポ、イラク・モスル、トルコ軍事クーデター、ギリシャ・マケドニア国境
混迷を深める世界、排他的な世界
日本でも同じことが起こっている。日本のヘイトデモ、沖縄・高江
他方で、地球規模の問題は置き去り
他者への思いやりを持って頑張らなければならない。

 ※画像は上から
  ①2016年~2017年の世界の政治的な動き
  ②「成長欲求」と「退行欲求」
  ③ジョン・レノン「IMAGINE」のプレート
  ④ロサンゼルスの男性のインタビュー


         ↓   ↓   ↓  

♪ここまで読んで下さった方は・・・ワンクリックしていただけたらとっても嬉しく、励みになります。
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

« No.309 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その1) | トップページ | No.311 真に過労死を防止できる労働時間規制を!~長時間労働の規制を求める院内集会に350人~ »

6-1 思いつきエッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573062/64797788

この記事へのトラックバック一覧です: No.310 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その2):

« No.309 21世紀の妖怪の正体と、世界の行方(その1) | トップページ | No.311 真に過労死を防止できる労働時間規制を!~長時間労働の規制を求める院内集会に350人~ »

無料ブログはココログ