№337 熱気あふれた札幌での過労死防止学会第4回大会
6月2日(土)午後~3日(日)午前、札幌市内にある北海学園大学で過労死防止学会第4回大会が開かれた。備忘を兼ねて、今回を含めたこれまでの4回の大会の概要を整理しておくと、次のとおりである。
第1回(2015・5・23、設立記念大会、東京・明治大学駿河台キャンパス)160名以上
記念シンポジウム(3人の報告と4人の予定討論)
第2回(2016・5・21~22、大阪・関西大学)115名
日韓仏国際シンポジウム「過重労働による健康障害と労働時間規制」
第1~第4分科会(運送業、教員、ホワイトカラーの労働時間管理、若者の過重労働)
共通論題「過労死防止法・大綱と労働時間の制限・短縮」
第3回(2017・5・20~21、東京・専修大学神田キャンパス)153名
特別シンポジウム「若者に広がる過労自殺の要因と対策」
第1~第5分科会(運送行、医療・介護・福祉分野、情報通信産業、教員・公務員、職場の労働時間管理)
共通論題 「第 1 回『過労死白書』と調査研究から見えてくるもの」
第4回(2018・6・2~3、札幌・北海学園大学)187名
特別シンポジウム「日中韓・過労死防止国際シンポジウム」
第1~第6分科会(建設関連産業、医療、教員、裁量労働制、職場のハラスメント、韓国・中国の過重労働と過労死)
共通論題「過労死問題からみた“働き方改革”の諸問題」

今回の大会では、私個人としては、同じ東アジアの「日中韓国際シンポジウム」がとても面白かった。
韓国と日本は状況が実に似ているが、革新政権である文在寅(ムンジェイン)政権のもとで、過労死・過労自殺の救済と予防の取り組みが急速に進みつつある(勤労基準法の改正、過労死認定基準の改正、過労死予防センターの設立など)。他方、中国では過労死・過労自殺は相当数発生していると思われるが、まだ過労死の救済はおろか、実態分析さえ緒についていないようである。



その一方で、パネラーの楊 河清さん(中国適度労働学会会長)に私が、同じ東アジアの3国の過労死問題に共通している点はあるかと尋ねたところ、「忠誠や勤勉といった仏教や儒教の思想が影響している点で共通しているのではないか。中国でも「仕事狂」という言葉がある」と話され、韓国のパネラーの方も「3国では儒教文化である雇用主への忠誠心が共通している」という趣旨のことをおっしゃったのが印象的だった。


2日目の共通論題「過労死問題からみた“働き方改革”の諸問題」も、上西充子、濱口桂一郎、森岡孝二というゴールデントリオに、司会の毎日新聞記者の東海林さんが加わったパネルディスカッションはこの上なく刺激的であった。

今回は遠く札幌で開かれることもあり、参加者は減少すると思われたが、予期に反して過去最高の参加者数となった。

過労死防止学会の設立準備から関わり、初代会長を務めてこられた森岡孝二先生は、この大会で会長を退任された。過労死防止学会がここまで発展してきたのは、森岡先生の力によるところが極めて大きい。本当にお疲れさまでした(もっとも、新たに事務局長に就任され、今しばらく実質的なフォローをしてくださるようである)。

2日目の夜は、地元札幌のM弁護士に教えてもらった札幌駅近くの「くし路」というお店で、過労死家族の会の皆さんとおいしい魚介類をたくさんいただいた。ほぼハーレム状態(笑)で、このうえなく幸せな夜であった。



※写真は上から
①~④ 日中韓過労死シンポジウムの様子
⑤~⑦ 共通論題のパネルディスカッションの様子
⑧ 退任あいさつをする森岡先生
⑨~⑫ 「くし路」にて、家族の会の皆さんと
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