2020年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
フォト

« 2020年2月 | トップページ | 2020年4月 »

2020年3月の2件の記事

2020年3月 8日 (日)

No.354 映画「新聞記者」が日本アカデミー賞を総なめ!

 映画の話題が続いてしまうが、3月6日、第43回日本アカデミー賞授賞式が行われ、昨年6月~7月にかけて公開された映画「新聞記者」(藤井道人監督)が優秀作品賞、優秀主演男優賞(松坂桃李)、優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の主要3部門を総なめにした。200308


 この映画は、東京新聞の記者である望月衣塑子さんの同名の本を素材に、若手女性新聞記者と内閣情報調査質の若手エリート官僚の対峙と葛藤を描いたものである。

 望月記者自身が当時(今も)安倍政権から相当バッシングされていたばかりでなく、おそらく現政権への忖度から、テレビなどではほとんど紹介されず、また宣伝・広告も目立たなかったが、ぜひ観てみたいと思い、昨年7月18日に大阪ステーションシネマで観てきた。

 主演のお二人を始めとするキャストの好演も、息もつかせぬストーリーも、素晴らしかった。

 映画自体はフィクションだが、公文書偽造に関わった官僚が自殺したり、総理のお友達のもとに莫大な学部新設利権が転がり込んだり、薄暗い部屋の中で若手官僚たちが政権に不都合なニュースをコントロールしている場面があるなど、現政権の数々の「闇」を想起させるストーリーであるうえ、映画の中のテレビの討論番組で、望月記者と元文部科学事務次官の前川喜平氏が討論している場面も入っているなど、現政権に対する批判的な視点を隠そうとしない映画であった。また、作り出された「嫌韓ブーム」の中で、ヒロイン(吉岡エリカ)に韓国人のシム・ウンギョンさんを採用したことも、思い切った決断だったと思う。

 にもかかわらず、SNSや口コミで評判が広がったこともあり、観客動員は尻上がりに増え、観客動員は40万人、興行収入5億円を突破したとのことである。

 そこに、今回の日本アカデミー賞の受賞である。

 私は、主要3部門をこの映画が総なめしたのもうれしいが、アカデミー賞に政権への忖度がなかったことが同じくらいうれしい。

 この映画でもう一人の主演(杉原拓海役)を務めた松坂桃李さんがこの役を受けるとき、迷いがなかったとしたら嘘であろう。授賞式では、ウンギョンさんは号泣し、松坂さんの目も、心なしか潤んでいるように見えた。200308_20200308210401

 先月、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が、第92回アカデミー賞で韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、脚本賞などをを制覇して話題になった(私も2月22日に観てきた)。

 私は、映画について多くを語るだけの知識も経験も持ち合わせていないが、少なくとも時の政権に忖度せずに「新聞記者」を選んだ日本の映画界も、まだまだ捨てたものではないと嬉しく思う。

 これを機に、映画「新聞記者」を、もっともっと多くの人たちに観てほしいと思う。

         ↓   ↓   ↓

♪ここまで読んで下さった方は・・・ワンクリックしていただけたらとっても嬉しく、励みになります。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

 

2020年3月 1日 (日)

No.353 東京高検黒川検事長の定年延長に怒りの声を!

 検察庁法22条は、検察官の定年を検事総長を65歳とするほかは63歳と定めていますが、安倍内閣は131日、この2月に63歳となる黒川弘務東京高検検事長の定年を同年8月までの半年間延長することを閣議決定しました。検察官も国家公務員だから一般法である国家公務員法が適用されるとして、同法81条の31項の「職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」に定年を延長できるとの規定を根拠としています。

 しかし、①一般法と特別法の関係において齟齬・抵触があるときは特別法(検察庁法)が優越するのが法解釈として当然です。②また、国家公務員法81条の21項は「職員は、法律に別段の定めがある場合を除き、定年に達したときは・・に退職する」と規定しており、検察官の定年はこの「法律(検察庁法)に別段の定めがある場合」にあたることは明らかです。さらに、百歩譲って国公法の適用があるとしても、今回のケースが「職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」にあたるとは、到底考えられません。

 また、手続き的に見ても、①国公法の規定が制定された当時の政府見解では、検察官には同規定は適用されないという考え方が示されており、これまでも検察官の定年が延長された例はありません。②そして212日、人事院局長はいったんは上記解釈は現在でも継承されていると答弁しながら、翌13日安倍首相が解釈変更について言及すると、同月17日には制定当時の法解釈を変更したと述べ、前記12日の国会答弁は「言い間違い」であったと釈明しました。さらに、220日には国会で森雅子法務大臣がこの解釈変更について必要な部内の決裁をとったと答弁し、翌21日に法務省担当者が正式な決裁はとっていないと述べたのに対し、口頭による決裁を経たので問題ないと強弁するに至るなど、説明が二転三転しています。

 では、黒川氏の定年を今年8月まで延期した目的 は何でしょうか。

200229

 2018年夏に就任した稲田伸夫検事総長(63)は、慣例に従って2020年夏に約2年の任期で勇退するとみられており、その場合、序列から言えば検察ナンバー2となる東京高検検事長の黒川氏の昇格が順当だが、その前に黒川氏が63歳で定年退職してしまうために、730日に63歳となる林氏が滑り込みで検事総長に就任する可能性が高いことから、黒川氏の定年を延長して検事総長にしようという目的ではないかといわれています。

 その黒川氏は、検察首脳として安倍首相の意向を踏まえて共謀罪などの実現に奔走し、森友学園問題における財務省の公文書改ざん事件でも、佐川宣寿元国税庁長官ら関係者全員の不起訴処分を主導したとされています。このため、政界では「安倍政権のスキャンダルをもみ消す官邸の番人」などと呼ばれてきたそうです。

 検察は2019年暮れにIR汚職事件で約10年ぶりに現職国会議員の逮捕に踏み切り、「自民大物議員にも捜査の手が伸びて疑獄事件になるのではないか」との見方もありましたが、黒川氏の定年延長決定とほぼ同時期に、秋元司衆院議員(元内閣府IR担当副大臣、自民を離党)だけの収賄事件として捜査が事実上終結し、事件の拡大を嫌がる官邸への忖度(そんたく)ではないかと指摘されています。

 検察官は、公益の代表者として刑事事件の捜査・起訴等の検察権を行使する権限が付与されていることから、行政権に属しながらも他の権力からの独立が要請されています。かつてのロッキード事件やリクルート事件など政権トップの汚職事件等にも切り込んで捜査・起訴してきた歴史があります。今回の黒川氏の定年延長は、検察庁までを完全に支配下に置こうとするものであり、これが通ってしまうと、もはや法治国家とはいえません。

 国民世論の強い批判が、今こそ求められているのではないでしょうか。

  ※画像は毎日新聞より

         ↓   ↓   ↓

♪ここまで読んで下さった方は・・・ワンクリックしていただけたらとっても嬉しく、励みになります。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

 

« 2020年2月 | トップページ | 2020年4月 »

無料ブログはココログ