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カテゴリー「2-3 基本的人権」の6件の記事

2020年4月28日 (火)

No.357 「補償」なき休業の強要は憲法に違反する

    1 No.355でも書いたが、4月7日、安倍首相は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」)に基づいて「緊急事態宣言」を発出した。当初、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象地域とされたが、4月16日には対象地域を全国に拡大した。
 そのもとで、営業、出勤、移動の幅広い「自粛」が「要請」され、「休業したら収入がなくなり、生活できない」「来店客がほとんどなくなり、店を閉めざるを得ない」という悲痛な声が街にあふれ、実際、賃金の不払い、解雇、派遣切り、採用内定取消しなどが空前の規模で広がり、「コロナ倒産」というべき倒産・破産も広がり始めている。このままでは、自殺者や強盗などの犯罪も増えることが危惧される。

2 この問題では、しばしば「経済活動か、命の問題か」という立て方がなされ、「今は命が問題だろう。だから自粛は当然だ」という議論が多い。しかし、ことはそんなに単純ではない。労働者やフリーランスの人たちが仕事に行けずに収入が途絶えると最後は餓死せざるを得ないが、これは「命の問題」ではないのか。

3 まず、重要なことは、現在行われている各種の「要請」は法的にはあくまで「お願い」であり、従わないことや拒否することができるということである。

 特措法に基づくということが錦の御旗のように言われているが、同法24条9項は「都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。」としているにすぎない。あくまで「協力の要請」にすぎないのである。
 また、同法45条2項は、「特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設‥‥、興行場‥‥その他の政令で定める‥‥施設管理者等‥‥に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」としている。これも「措置の要請」にすぎない。

4 なぜ、営業や就労、外出等を端的に「禁止」できないのか。それは、これらがいずれも日本国憲法が保障する基本的人権だからである。

 働いて収入を得て生活することは、勤労の権利(憲法27条1項)、営業の自由(憲法22条1項)、幸福追求権(憲法13条1項)、さらには「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」(生存権、憲法25条1項)として保障され、また自由に移動することは居住・移転の自由(憲法22条1項)として保障されている。これらは「侵すことのできない永久の権利」(憲法97条)なのである。

 もちろん、これらの基本的人権は「公共の福祉」による内在的制約がある(憲法13条、29条2項)。しかし、その制限は必要最小限のものでなければならない。その制約原理はいかなるものであるかについて、憲法学でこれまで詳細な議論がなされてきたが、今回の新型コロナウイルスをめぐっては、十分な議論がなされているとは言いがたい。

5 特に、施設や店舗の稼働を制約する場合に重視されなければならないのは、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と定めている憲法29条3項である。

 この条項は、狭い意味では土地などの公用収用についてのものであるが、個人の財産である施設や店舗の使用を、コロナウイルスの感染防止のために禁止することは「公共のために用ひる」に当たるといえる。したがって、法律でこれらの使用を「禁止」する場合には「正当な補償」が憲法上求められる。
 つまり、法律による施設や店舗の稼働の「禁止」であれば、これに対する損失の「補償」が一体として行われなければならないのである。

6 また、労働者や一人親方、フリーランスの人たちは、施設や店舗はなくても、働かないと食べていけないのであるから、いわばその労働力を「私有財産」に準ずるものと考えて、同じく「正当な補償」がなされるべきである。このことは、「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」と定める憲法25条1項、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定める同条2項の要請でもある。

7 そして、稼働や就労の制限が「要請」レベルにとどまるとしても、その制約性が実質的に強ければ強いほど、憲法上の「補償」の必要性は強くなると考えられる。
 多くの人々が「自粛と補償はセットだ」と主張しているのは、憲法上も当然のことなのである。

 国が端的に就労や稼働を「禁止」までしないのは、そうすると「補償」の問題を避けて通れないからであり、「補償」しなくて済まされているのは、あくまで対象者の自発的な「自粛」を「要請」するにとどめる建前をとっているからなのである。

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8 ここ数日間、東京都や大阪府・兵庫県は、営業を「自粛」しないパチンコ店の名前を公表する挙に出ている。これについても、異論を述べておきたい。

 これは、前述の特措法45条2・3項を受けた4項で、「特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。」としていることに基づくものである。

 この条項を根拠に、まるでさらし者にするかのように店名が公表され、知事が「この店には行かないように」と呼びかけている。

 しかし、条項をよく見てほしい。同項の前提となっている3項には、「施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないとき」という要件が入っているのである。「営業をやめてしまったら従業員の給料が払えなくなり、店が立ち行かない」という事情は、「正当な理由」ではないのか。

 しかも、パチンコ店は、日本政策金融公庫が扱う新型コロナウイルス感染症特別貸付やセーフティネット貸付などの対象から外されていたのである。
 この点について改善を求めるインターネット署名も始まっていたが、4月24日、経産省はパチンコホールも公的融資や保証の対象業種とする方針を示したことが報道されている。運用開始は5月上旬からになるようであるが、これによって、ようやく営業自粛に転じるパチンコ店が増えてくると思われる。

 こういった背景や経緯を無視して、まるで袋叩きのように休業を迫るマスコミや社会状況は異常である。
 特にパチンコ店に対しては、賭博性の問題やギャンブル中毒者の存在をめぐる批判に加えて、経営者に対する民族差別的なヘイト発言も多く、「この際つぶれてしまえ」といった発言すらある。
 賭博性や業態への批判は別途なされるべきであるとしても、これらを根拠に、現在合法的に行われている営業や、従業員の生活保障を考慮する必要はないかのような議論は、極めて危険である。

 この点では、国際政治学者の三浦瑠麗氏がツイッターで、「パチンコは騒がしいので普段から好きではありませんが、見せしめのような店名公表には反対です。自粛なんだからあくまでも基本自由であるということを原則として頭においていただきたい。
行政が電凸を誘う社会的圧力をかけるべきではないし、潰れて労働者がクビになったら責任を取れるのでしょうか。」

と述べているのは、正論であると思う。

9 日本国憲法は「平時」だけ守られればよいのではない。否、むしろ現在のような「非常時」にこそ守られなければならない。
 にもかかわらず、憲法や人権といった視点からこの問題を論ずる向きが少ないことに、私は危機感を覚える。憲法学者や日弁連・弁護士会には、もっと日本国憲法の視点から積極的な議論や提起を行っていただくことを期待したい。

 私たち市民一人ひとりがお互いに励まし合ってコロナ感染拡大を防ぐ努力をすることは当然であるが、だからといって他人の基本的人権、特に生存の基盤に関わる人権を、よってたかって奪っていいことにはならない。その調整をする責務を負っているのが国や地方自治体である。
 批判されるべきは、コロナ感染防止の初期対策を誤り感染拡大を止められなかったばかりか、「自粛」を「強く要請」することを先行させ、営業に対する補償・支援を後手後手にしている現政権ではないだろうか。

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2018年10月28日 (日)

№342 裁判官の「表現の自由」を考える

 岡口基一裁判官(修習46期)がツイッターで「不適切ツイート」をしたとして、所属する東京高裁の林道晴長官が最高裁に懲戒請求が申し立てていた件で、10月17日、最高裁大法廷は14名の全員一致(元東京高裁長官の戸倉三郎裁判官は、過去に岡口裁判官を厳重注意処分にしたことがあったため、合議体から外れました。)で「戒告処分」を決定しました。
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 岡口裁判官は、自らの「ブリーフ姿」をネットにアップするなどかねてから話題性のあった人ですが、今回問題とされた投稿は「不適切」とまでいえず、このようなSNS投稿に対して「戒告処分」を行うことは、裁判官の市民的自由の行使を不当に制約し、「もの言わぬ裁判官」をますます増やすことになると懸念されます。首都大学東京の木村草太教授も、次のように述べています(沖縄タイムス2018年9月16日付け)。

 「なぜ、高裁はこれほどひどい申し立てをしたのか。高裁は、過去にも、岡口判事のツイッターへの投稿に注意を出してきた。また、岡口判事は、申し立てに先立ち、林長官から、ツイッターを止めないなら分限裁判にかけて判事を辞めさせる、と脅されたと主張している。それが事実なら、今回の申し立ては、犬の飼い主の感情の保護ではなく、岡口判事のツイッターを止めさせるためのハラスメントだと理解すべきではないか。

 もちろん、職務上の秘密を暴露したり、訴訟当事者の名誉を毀損(きそん)したりした判事には、懲戒処分が必要だ。しかし、今回のツイートにそうした悪質性はない。むしろ、さしたる根拠もなく、ツイッターを全てやめさせるためにハラスメントをしたとすれば、表現の自由の侵害だ。

 判事も一人の個人であり、人権がある。表現の自由を侵害する脅迫や懲戒申し立てことこそが、裁判官の「品位を辱める行状」ではないか。今回、懲戒処分を受けるべきは、岡口判事ではなく、林長官ではないだろうか。」
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 最近、「政権の意向の忖度」の風潮が強まる中で、原発再稼働や沖縄の米軍基地の辺野古移転など政治的対立の激しい事件をはじめ、過労死事件などでも「国べったり」の判決が相次いでいます。今求められているのは、自らを社会から隔絶し、「公正らしさ」を装いながら社会的強者に媚びる官僚的裁判官ではなく、市民感覚を大切にし、弱者の声にも公平に耳を傾ける「市民的裁判官」ではないでしょうか。

 なお、岡口裁判官自身のブログ「分限裁判の記録」や、和歌山の金原徹雄弁護士のブログに、最高裁の決定書のほか、有識者(学者・弁護士)の意見書、主なメディアの報道が紹介されています。

 ※画像は上から
 ①岡口裁判官が会見 「ありえないことが起きている」「戒告なら法治国家とは言えない」(弁護士ドットコムより)
 ②岡口裁判官の分限裁判、9割の弁護士が「懲戒処分に該当しない」 326人緊急アンケート(弁護士ドットコムより)

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2017年3月 6日 (月)

No.314 新聞で世界は変えられるか──小野木記者との熱いトーク<ゆうあい会 第2回総会>

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◆3月4日、いわき総合法律事務所の友の会である「ゆうあい会」の第2回総会が、40人以上の参加者を得て、本町にある「マイドーム大阪」で行われた。
 ちょうど1年前、谷口真由美さんをお呼びして結成総会を行ってから、1周年を迎えたのである。

◆総会は、世話人の國本園子さんと当事務所の稗田弁護士が司会を務め、森岡孝二会長の開会あいさつで始まった。
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 最初に、アコーデオン奏者の寺田ちはるさんのアコーデオン演奏。短時間であったが、“愛の讃歌”、“情熱大陸”、“涙そうそう”などを笑顔で次々と演奏してくださり、最後に参加者も一緒に“この広い野原いっぱい”を歌った。アコーデオン演奏をこのようにちゃんと聴いたのは初めてだったが、両手の指の全部を使いながら腕の開閉もするので、大変難しい楽器だと改めて思った。
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◆続いて、産経新聞の小野木康雄記者に、「新聞で世界は変えられるのか」と題するメイン講演をしていただいた。
 小野木さんは、1998年に産経新聞社に入社し、2009年ころから大阪過労死問題連絡会の例会やイベントに参加するようになり、過労死事件や過労死防止基本法制定の取り組みについて数々の記事を書いてこられた。
 講演では、新聞の構成、編集局の指揮系統、デスクの心がけ、新聞の読み方、昨今の取材記者への逆風、実名報道のメリット、事件記者の一日、新聞が世界を変えた事例(トルコの海岸に打ち上げられたシリア難民の3歳の男児を警官が抱き抱えている写真〔2015年9月〕、日本の過労死問題を紹介した「仕事に生き、仕事に死ぬ日本人」と題する記事〔シカゴトリビューン、1998年11月〕など)、新聞で世界を変えるための条件(節度ある言葉、論争における寛容、時間と経費をかけた取材、心ある読者)などについて、熱く語ってくださった。
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◆休憩を挟んで、小野木さん、寺西笑子さんと私の3人で「現代社会の焦点を語る!熱い3人の熱血トーク」。聞いただけで汗が出てきそうなタイトルである(笑)。
 まずは小野木記者に、参加者から寄せられた質問用紙に書かれた質問のいくつかに答えていただいた。続いて、21年前に夫を過労自殺で亡くした寺西さんに、自らの労災認定・裁判闘争を闘った後、全国過労死家族の会の代表に就任し、過労死防止基本法制定運動の中心メンバーとして活動してきたご自身の自己紹介をしていただいた後、、トークを行った。寺西さんは、小野木さんから朝10時から夜8時まで10時間に及ぶ取材を受けたが、それを通じて自分自身の気持ちや考えが整理されていったという。ここでは詳細を紹介することはできないが、総会の後、大変面白かったとの感想がいくつも寄せられた。

◆次に、私が「必見!弁護士への上手な法律相談と依頼のしかた」と題するミニ講演を行った。弁護士とは、紛争とは、解決とは何か、法律相談の心構え、準備しておいてほしいこと、弁護士の選び方、弁護士費用、依頼後の心構えなどについて、私の28年間の経験に基づいてお話しした。短時間であったが、大変好評だったようである。

◆最後に、1年間の活動報告、今年度の活動方針、会計報告、役員体制(新たに4人の方が世話人になってくださった)を提案し了解された後、中田進副会長の閉会のあいさつで総会はお開きとなった。
 昨年と同じく、最後に参加者全員で記念写真を撮影した。
 総会後の懇親会にも約20人が参加し、参加者同士の交流が深まった。その後、今年も有志で更にカラオケを楽しんだ。

◆昨年の結成総会は、まずは結成しようとシャカリキになって準備したのに対し、今回は結成後1年間の活動を踏まえたものになるので、参加者の皆さんの受け止めや感想が気になったが、全体として大変高い評価をいただくことができ、ほっとした。
 1年目の経験や教訓を踏まえ、いっそう充実した2年目にしていきたいと思う。
 皆様、また1年間、よろしくお願いします。


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2016年6月30日 (木)

No.287 アジア・太平洋の22か国の法律家がネパールに集う

◆6月17日(金)~19日(日)、ネパールのカトマンズで開かれた「COLAP6」という国際会議に参加してきた。Img_5091


「COLAP」というのは、“Conference of lawyers in Asia Pacific”(アジア太平洋法律家会議)のことで、アジア・太平洋地域の国々の法律家団体が、5年に1回程度、各地で開いているものである。私自身は、2005年9月のコラップ4(韓国・ソウル)、2010年9月のコラップ5(フィリピン・マニラ)に続いて3回目の参加であった。
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 今回のネパールでの会議は、本来昨年予定されていたのであるが、直前の4月25日、マグニチュード7.8のネパール大地震が発生したため、延期されて今回の開催となったものである。
 ネパールは、長年王政が続いてきたが、1996年から内戦状態となり、2008年王制が正式に廃止されて連邦民主共和制となった。その後も混乱が続いたが、2013年制憲議会選挙が行われ、昨年の地震後の2015年9月、ついに憲法が制定公布された。
 そのような中で、今般COLAP6が開催されたのである。

◆1日目(6月17日)お昼過ぎ、バンコク経由でカトマンズに到着後、市内観光。
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 夕方からマーラホテルにて開会式(オープニングセレモニー)。ネパールの大統領・首相以下、国の幹部がずらりと壇上に並び、長年の苦難の歴史と憲法制定に至った経緯について、ネパールの人たちからの誇らしいあいさつが続いた。各国からの参加者が順次紹介。参加団体はアメリカを含む22か国、開会式の参加者は200名以上と見受けられた。私たち日本からの参加者(22人)は、現地ネパールの次に多かった。
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 2日目(6月18日)午前の全体会は、「ネパールにおける民主化プロセスの発展と課題」と題して、憲法、人権、司法の各点について報告と討論が行われた。
 2日目午後は分科会Ⅰ(世界平和と地域平和)と分科会Ⅱ(人権)が並行して開催された。私が出席した分科会Ⅰでは、笹本潤弁護士が基調報告、個別報告として日本からは大久保賢一(埼玉)、喜多自然(沖縄)、飯島滋明(名古屋学院大)各氏の報告があった。人によってはパワーポイントも使って英語で短時間で行うので、準備も発言も本当に大変だったと思う。
 2日目の夕方には、アジア太平洋地域法律家協会の設立総会が行われた。これまでの“Conference”(会議)を常設の“Confederation”(協会)にするもので、頭文字が同じCであるため、略称はこれまでと同じ“COLAP”である。
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 3日目(6月19日)は分科会Ⅲ(経済的発展の権利)と分科会Ⅳ(民主主義を脅かすもの)が、同じく並行して行われた。私が出席した分科会Ⅳでは、日本からは安原邦博(大阪)、菅野亨一(治安維持法国家賠償要求同盟)、中坂恵実子(広島大学)、高部優子(映像作家)各氏の個別報告がなされた。
 3日目の夕方には、全体会から分科会までの報告、予め起草されたコラップ6宣言案の討論と採択が行われた後、参加者全体の交流会(ソリダリティナイト)が行われた。
 本来会場のマーラホテルの中庭で行う予定だったが、激しい雨になったため、狭い屋内での事実上の交流にとどまることになった。日本の参加者は、大矢勝さんの計画のもと、横断幕や団扇・ノボリなどを掲げながら童謡(シャボン玉、こいのぼり、さくらなど)を歌う出し物をする予定で、一時は断念も危ぶまれたが、狭い屋内の喫茶フロアで強行。多少勇気がいったが、意外に反応はよく、その後あちこちで参加者たちが輪になって歌う声が聞こえた。

◆4日目の6月20日から23日までは、関西を中心とする10人のグループによる観光ツアーに出かけた。
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 6月20日は飛行機でポカラに行き、フェワ湖の湖畔での昼食とボートクルーズ、ナウダンダからカンデまでのミニハイキング。
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 6月21日は午前3時50分に起きて、午前5時過ぎからのサランコットからの朝日鑑賞に出かけたが、あいにく曇りで、朝日に映えるヒマラヤの山々を拝むことはできなかった。
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 朝食後バスで移動し、ルムレからチャンドラコットへミニハイキング。午後はポカラの市内観光(パタレ・チャンゴ、オールドバザール、セティ・リバー・ゴージ、ビンドゥバシニ寺院など)。
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 6月22日はカトマンズに戻るためポカラ空港に行き搭乗手続まで済ませていたが、雲が低く立ち込めているためカトマンズからの飛行機が着陸できないということで、バスでカトマンズに戻ることになり、実に9時間のバス移動となった。深夜カトマンズに着きグッタリ、バタンキュー。この日予定されていた民族舞踊を見ながらの夕食などはすべてキャンセルとなった。
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 6月23日午前、本来前日に予定していた古都パタンの市内観光。ダンバール広場、クリシュナ寺院、ゴールデン・テンプルなどを見学。
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 その後、帰途につき、カトマンズ空港からバンコク着、約5時間のトランジットではタイ料理をつまみながら大量のワインを飲んで、関空に向けて出発。実質3、4時間しか寝る時間がないため、半ば二日酔い状態で6月24日午前8時ころ関空到着。いや~、なかなかきつかった‥‥。

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◆今回のコラップの会議とネパールの感想を一言で書くのは簡単ではないが、以下思いつくままに。
・体制も国情も、抱える課題も全く異なるアジア・太平洋の国々の法律家が一同に会して、平和、人権、経済発展、民主主義といったテーマについて意見交換と交流がなされることは、すばらしいことだと思う。日本から、沖縄の基地問題やヘイトスピーチなどについて写真や映像も使った報告がなされると、参加者は驚きの声をあげていた。
・日本からの若手弁護士たちの活躍に感心した。英語が得意な人もいれば苦手な人もいるが、それぞれ全力で準備をし、スピーチの練習をしたうえで壇上に立ち、他の国からの参加者とも笑顔で会話をし、交流していた。既にロートルの部類になっている私は、よくわからない英語にオドオドしながら、そんな彼らを本当に頼もしく感じた。
・ネパールの人々は、みんな人懐っこく、よく話しかけてくる。ただ、全員スピーチが長く、聴き疲れている参加者の空気を読まない(笑)。会議の時間も、あまり守らない(「ネパール時間」というらしい(笑))。
・観光で観たネパールの寺院は、ヒンズー教なのに、仏教と融合しているような印象を受けた。入口の両側には狛犬がいたり、手を合わせてお辞儀をするなど。
・1年前の地震の爪痕が痛々しかった。歴史ある寺院の建物が倒壊したり、大きく傾いたりひび割れができたままになっているのがあちこちにあった。観光が大きな産業になっている国だけに、打撃は大きいと思う。また、地震の点では日本も人ごとではないと、改めて思った。

 ※写真は上から
 ①着陸直前のカトマンズの街
 ②到着後カトマンズ空港にて
 ③会場となったマーラホテル
 ④開会式直前の会場
 ⑤宿泊したバイシャリホテル前にて
 ⑥ポカラ空港
 ⑦フェワ湖でのボートクルーズ
 ⑧ジクリポコリという町のハイキングにて(N君と)
 ⑨同上(地元の子どもたちと)
 ⑩雲の間から顔を出したヒマラヤの山々
 ⑪マチャプツレ(魚の尻尾の山という意味)
 ⑫パタンのゴールデンテンプルにて


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2016年1月28日 (木)

No.270 未来を切り開く連帯~若者たちの運動から学びあう~

 すごい企画が実現することになった。
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 いま、全国で若者たちの新しい社会運動が始まっている。
 誰から押しつけられたわけでもなく、自分たちの頭で考え、SNSなどを駆使しながら、街頭に出て、社会に訴えている。
 しかし、私たちだってそうである以上に、彼らに悩みや模索がないはずはない。そんな彼らの、生の声を聴いてみたい。また、分野や目的も異なる彼ら同士の議論も聴いてみたい。
 そんな思いを彼らに持ちかけたところ、なんと7つの若者たちの団体のメンバーが集まってくれることになったのである。
 分野も、世代も超えた連帯は可能なのかを考え学び会う、本当に貴重な場になることは間違いない。
 私はリレートークのコーディネーターをさせていただくことになっている。ちょっと緊張するが(笑)、頑張りたい。
 皆様のご参加を、心からお待ちしています。

NPO法人 働き方ASU-NET 第24回つどい

未来を切り開く連帯
 ~若者たちの運動から学びあう~

 若者の働き方や平和問題については、今年も厳しい状況が予想されます。  
 ASU-NETは若者たちの自発的な労働運動や市民運動に注目してきました。
 若者たちはどんな思いで行動を起こしたのか。また、どんな苦労に直面し、どんな展望を持っているのか。活躍する分野は違っても、そこには共通する思いがあるのでは。互いに理解を深め、ネットワークを広げながら民主主義と社会変革を語るつどいにできればと考えています。ディスカッションでは、会場参加者さまからの質問にも率直に答えていただきます。若者から学び、世代を超えて連帯を考えるつどいにできればと思います。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

日時 2016年3月16日(水)18時30分~20時45分
会場 エルおおさか南館10階1023号(開場18時)
    地下鉄谷町線「天満橋」駅より西へ300m
    地下鉄堺筋線「北浜」駅より東へ500m

第1部 代表者によるリレートーク
 坂倉 昇平 さん  NPO法人POSSE 雑誌POSSE編集長
 寺田ともか さん  SEALDs KANSAI(シールズ関西)
 中村  研 さん  SADL(サドル)
 磯田 圭介 さん  ANTS (アンツ)
 北村  諒 さん  関西学生アルバイトユニオン
 橋口 昌治 さん  AEQUTAS KYOTO(エキタス京都)
 北出  茂 さん  地域労組おおさか青年部 書記長

第2部 報告者によるパネルディスカッション
 コーディネータ-:岩城 穣 弁護士(NPO法人働き方ASU-NET代表理事)

資料代:500円

主催 NPO法人・働き方ASU-NET
〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目4-18梅ヶ枝中央ビル7階
TEL:06-6809-4926 FAX:06-6809-4927
E-mail:info@hatarakikata.net  URL:http://hatarakikata.net/


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2014年8月11日 (月)

No.201 女性運動を切り開いた2人の女性─平塚らいてう、市川房枝の波瀾の人生を知って

昨夜(8月11日の深夜)、たまたまつけていたNHKのEテレで、『日本人は何を考えてきたのか「女たちは解放をめざす~平塚らいてうと市川房枝~」』という番組を見た。
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「元始、女性は太陽であった」と雑誌「青鞜」で宣言した平塚らいてう、婦人参政権の獲得を目指した市川房枝の戦前・戦後の歩みを振り返る番組であるが、大変よく出来ていたと思う。法政大学教授の田中優子さんと上野千鶴子さんの対談も、とてもよかった。

私は勉強不足で、雑駁な感想しか書けないが、
①女性の社会参加の方向性として、「分離型」(女らしい参加)と「統合型」(男並みの参加)の論争がある。
②子育てのとらえ方について、個人の問題と捉えるか、国家・社会の問題と捉えるか(後者の場合、福祉国家的要求である反面、子育てに国の介入を招いたり、子どもは国や社会のものという考えに利用されやすい)という論争がある。
③「母性」が強調されるようになるのは、大変な子育てを母親に押しつけつつ、子育ては社会全体の責任とするイデオロギー的な狙いがある。
④世の中がおかしな方向に進むとき、女性の協力が必要となるため、女性にエサが与えられる。女性に普通選挙権が認められてきた歴史には、そのような側面がある。
⑤世の中が国家主義・軍国主義的になってきて、それまで進めてきた運動が困難になったとき、挫折するか、不本意ながらでも世の中に合わせることによって維持を図るかという苦しい決断を迫られる(特に市川は後者を選び、戦争に協力した)。
など(私なりの理解であるが)、大変刺激的で、勉強になった。
いずれも、現在でもそのまま妥当する問題ではないだろうか。

あと、戦前、平塚らいてうらが婦人参政権を認める法律を制定してもらうために、国会に行き国会議員に粘り強く働きかけたことが紹介されたとき、私たちの過労死防止基本法制定のロビー活動を思い出して、胸が熱くなった。

冒頭に述べた、平塚らいてうの雑誌「青鞜」の発刊の辞は、日本ペンクラブのHPに収録されている。
100年以上も前に書かれたとは思えない、美しく格調高い文章である。
部落解放を謳った「水平社宣言」を初めて読んだ時も感動したが、これとはまた違った文学性と現代性を感じる。
例えば、
「女性の心情は表面なり、浅き水に泛(うか)ぶ軽佻浮噪の泡沫なり。されど男性の心情は深し、其水は地中の凹窩を疾走す」とツアラトゥストラは云つた。久しく家事に従事すべく極め付けられてゐた女性はかくて其精神の集注力を全く鈍らして仕舞つた。
 家事は注意の分配と不得要領によつて出来る。
 注意の集注に、潜める天才を発現するに不適當の境遇なるが故に私は、家事一切の煩瑣を厭ふ。
 煩瑣な生活は性格を多方面にし、複難にする、けれども其多方面や、複雑は天才の発現と多くの場合反比例して行く。」
といった言葉に、共感を覚える女性は多いのではないか。

平塚らいてうが、戦後平和運動に力を注ぎ、成功させた第1回母親大会がその後50年以上も続いていることなども紹介されていた。

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市川房枝が、戦争に協力したということで公職追放とされ、戦後3年間公職に付けず選挙にも立候補できなかったということも、初めて知った。

画像は、市川さんが若い女性に送ったという言葉である。
女性に限らず、先人の苦労によって権利・自由を享受している私たちに問いかけられた言葉だと思う。

このような、歴史と世相に深く切り込んだ番組を作るNHKは、まだまだ捨てたものではないし、番組作成の現場の努力を応援していかなければならないと思った(なお、後で教えてもらったのだが、この番組は3年前の放送の再放送とのことである)。

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